フリーエリア2
「オスカル…。そろそろ披露宴会場へ行かないか?みんな待っているぞ。」
ノックをする盛装姿のアンドレ。「アンドレ。あと2分ほど待ってくださいな。オスカルのお髪をまとめている途中ですから。」
ドアの向こうからオルタンスの声で返事がかえってくる。
…2分後…
「待たせたな。アンドレ。」
オスカルがドレスの裾をすこしつまみながら出てきた。
淡い水色の細身のドレス,水色のパンプス,胸元にアクアマリンのペンダントが輝いている。しかも普段は巻き毛のブロンドの髪はストレートヘアになっている。
髪留めは真珠のヘアピン。
「やっぱり,私にはストレートヘアは似合わないかな?アンドレ。どう思う?」
頬を赤らめながら尋ねてくる。
「…すごく綺麗だ。オスカル。普段の巻き毛より,ストレートヘアのほうが綺麗だ。」
「ならいいんだ。アンドレも…すごく格好いい。本当に。」
そう言いながらアンドレの左腕に自分の腕をからめる。2人の左手の薬指には,シルバーのエンゲージリングが柔らかに輝いている。……………………………………………披露宴会場《梨壺の間》……「皆様。今日は,私どもの婚約披露宴ご出席誠にありがとうございます。はじめまして。私がジャルジェ家ご令嬢オスカル・フランソワの婚約者,アンドレ・グランディエです。どうぞごゆっくりしてらしてください。」
アンドレの挨拶のあとは,みんなゆっくりとした会食。しかし,いずれ結婚する2人はこの会食の間に出席者に挨拶をしなければならない。しかも1人ずつ。
……1時間後……
「オスカル。庭園に行かないか?少し疲れた。噴水の近くで休もう」
アンドレに手をひかれて庭園に向かうオスカル。いつものことなのに胸が高鳴る。頬が熱い。あ…だめ。
……………………………………………*庭園《星の入り江》*……「わぁ…綺麗…。星の入り江と名前があるだけに神秘的な所…」
月明かりで噴水の水が星を含んでいるようにキラキラと煌めいている。妖しい煌めき。不意にアンドレがオスカルの背後から抱きしめてきた。
「…ゃっ…」小さく悲鳴をあげてアンドレから逃れようとする。が失敗。アンドレに右手首を掴まれた。アンドレはかまわずそのままオスカルにキスをする。しかも,いつもみたく頬じゃなくて唇。はじめやや抵抗気味だったオスカルはだんだん力が抜けてくる。左手をアンドレの頬に添える。アンドレの頬が熱い。おそらくものすごく緊張していたのだろう。
…*月明かりに包まれてキラキラと輝く2人。若い2人は明日に向かって駆けていくのでした。*…
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