５，６時間目の授業が無事に終了し男子バスケ部部室へ向かうアンドレ。壁の陰からこちらをうかがう女子ひとり。オスカルのクラスメート，桃山ららである。
――アンドレ先輩……。好きです…！オスカルさまには悪いけど…。でも，オスカルさまの彼氏っていうワケじゃないから…いいよね……？――
「あっ！先輩…！」
小走りでアンドレに駆け寄る。
「先輩!!あの…こ…これ，読んで下さい!!」
アンドレに手紙を渡すと猛ダッシュでその場を離れる。
…………………………………………………吹奏楽部部室……………「ねぇ，らら～♪渡してきたのぉ～？そんで，お返事はぁ～？」
２組の夏希美優がちゃかす。
「もう!!すぐにお返事がくるワケないでしょ!!…まあOKしてくれればいいんだけど…」
「でもさ，アンドレ先輩って，オスカルさまと仲いいんだよ!!それにオスカルさまのほうが頭いいし，美人だし，男子にモテるんだよ負けちゃうじゃん!!」
「やだっ!!不吉なコト言わないで～！！！！！！！！」
………………………………………………男子バスケ部部室…………――アンドレ先輩へ…
私，先輩のコト好きです。付き合って下さい!!私，今度の試合見に行きます。明日お返事下さい。待ってます。
１年３組 桃山らら――
げっっ!!オスカルのクラスメートじゃん!!ヤバい!!ヤバいよ～！オスカルに見つかったら婚約破談だよ～～～～！！
「おうおう。アンドレはモテモテですなぁ～♪今カノはどうするのかな♪♪♪」帝だ!!ヤバい…！！「帝!!絶対に言うなよ!?オスカルにバレたら…とにかくヤバい!!旦那様がおばあちゃんが…！」
「わかってるよ。そーいやぁ，この桃山ららって，茶髪のストレートヘアのコだろ？カワイイよな～♪確か吹奏楽部だろ？そのコ。」……あのコには可哀想だが，フラれてもらおう。俺には彼女…じゃなくて婚約者がいるからな。
………………………………………………翌日の放課後………………「先輩!!お話って？」桃山ららが見上げるように見つめる。
「あのさ…桃山さん。俺ね，彼女いるからさ。付き合えないんだ。ゴメン……。」
「先輩……それって誰ですか？同じ１年生ですか？…でも，先輩のお心を捕らえて離さない人はとても綺麗な人なんでしょうね」
この場面を見ていた女子ひとり。オスカル・フランソワである。―桃山 らら!!あの女!!この私を欺きやがって!!―
気がつけば2人の間に割って入っていた。
「アンドレ!!どういうつもりだ!?私との約束はどうなったのだ!?
桃山らら!!お前もだ!!貴様はアンドレをたぶらかして何をするつもりだ!!アンドレと私は婚約者だ!!ふざけるな!!
アンドレ!!迎えの車がきているぞ!!いくぞ!!」
アンドレの手を掴んでその場を退場。
………………………………………「どういうつもりだアンドレ…！桃山ららなんかと一緒にいて…！ふざけるな…！」
目がじんわりと熱くなってくる。「なにも泣いて拗ねなくても…。それにちゃんと断ってきたし…。ね!!オスカル!!機嫌を直して!!俺が悪かった。ね!!俺，どーしたらいいかわかんないや!?」
オスカル，アンドレのカーディガンを掴みながら，
「今夜，私の部屋に来い。そしたら許してやる。…ばあやに見つからないようにな。」
さっとアンドレの胸に飛び込む。「あのね，オスカル。今，車のなかで，運転手がいるんだけど。そーゆーコトは部屋でゆっくり。」「ふんっっ!!別にいいさ!!約束破った罰だ!!」
……。いつまでもお子ちゃまなオスカル。

さて，フラれた桃山ららはどうなったのでしょう。次回
『アンドレ絶体絶命！！ラブレター事件！！番外編』お楽しみに!!

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