フリーエリア2
「アンドレ様,今日はお天気がとても良いですわ。中庭へお散歩に行きません?ずっとお部屋に閉じこもっていてはいけませんわ。」アンドレの手をとって中庭へ向かう薫。だが,今日のアンドレは何かが違う。薫の手を振り払った。「今日は行かないよ。薫さん。オスカルが…オスカルが待っているんだ。」
「誰ですの?オスカルって…?どこの誰ですの?」
薫は少し焦りを感じた。まさか…記憶が戻っているのかしら…と。でも,瞳には意志はなくぼんやりしている。
「薫さん…。悪いけどもう帰ってくれ。頭痛がする。」
「そうですか…。わかったわ。お大事に。」淋しそうな表情をして出ていく薫。廊下にはジャルジェ夫人。
「藤稔薫…さんですね?少しお話がしたいのですが大丈夫かしら?本当に少しで良いから。」
……カフェ・ルイーズ……「ジャルジェ夫人,お話とは…?お話とはなんですの?」
「お話とはオスカルとアンドレのことです。薫さんもご存知のようにあの2人は婚約者です。薫さん…あなたはなぜオスカルに敵対心を持っているの?オスカルがやつれているのを見て何が嬉しいの?私は痩せてしまったオスカルを見るのは辛いのです。薫さん…別れてください!アンドレと!別れてください!母親の私からのお願いです。」
薫は真っ青になって話を聞いている。ジャルジェ夫人の悲痛な願いに胸が痛くなった。
今日は7月31日。マリンブルーの奇跡はあと少し。
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