フランス旅行回想録 【 Voyage 】

こちらは管理人のフランス旅行記です。
旅行前の準備のこもごもや、旅行中にフランスからUPしていた雑文、帰国してからの回想録などを置いています。

★2013/5 回想録
旅行準備から現地UP版までは、かつて【Hermitage】というおまけノベルを集めたブログにUPしていたものからの転載。
回想録からが、この「Voyage」でUPしはじめたものです。
(今はクレーム等により一部公開していません)

また、この旅行記には、追随するコンテンツとして【Webアルバム】がございます。
アルバムでは、管理人の訪れた各地の画像が2000px以上の大判サイズでご覧いただけます。
ベルサイユ宮殿や大小トリアノン宮などのお部屋が、壁紙の模様や扉のひび割れまで見える詳細さでUPされております。
スライドショーにすることも出来ますので、ご覧になれる方はどうぞ。
全部で1183枚の写真がご覧いただけます。

★2015/4 回想録
2015/6/12よりUPを始めました。
こちらもWebアルバムをUP中で、ただいまは3410枚の画像がご覧いただけます。
最終的には、およそ5500枚程度のアルバムになる予定です。

 

    知り合ってから、だいぶ長いドレ男と私。
    双方の友達から「結婚しないの?」「いいかげん結婚しなよ」と言われていた。でも私たちにそんな気はなく、途中で別れたり戻ったりしながら、20年近くの時間を過ごしていた。
    私自身、自分が結婚するなんて思ってもいなかった。
    それが今、この年齢で結婚することになり、正直なところ… 自分が1番驚いていた。
    なんで結婚することになったのか、今でも判らない。本当に気の迷いだったと思う。
    でも結婚することになったとき、私は非常に照れまくりながら、「だったら私はこれがやりたい」とヤツにある写真を見せた。



    2013年5月。
    私が初めてフランスに行ったとき、グラントリアノンで撮ったものだ。
    右下の部分を、元画像の解像度のまま切り取ってみる。


    フォトウェディング



    このとき初めて私は、ベル宮でフォトウェディングが出来ることを知った。
    5歳のときから「いつか行く」と決めていたフランス。その中でも特に心惹かれたベルサイユ宮殿で見た、ウェディングの一場面。
    このカップルを見ながら、単純に「素敵だなぁ」という気持ちと、「ここでこんなことが出来るんだ」という驚きと、それから「ま、私には関係ねーな」という気持ちを感じていた。この「関係ない」というのも、卑屈になっていたわけでも僻んでいるわけでもなく、本当に自分には関係ないことと思っていた。
    それぐらい、自分にとって“結婚”は遠いものだった。
    ので。
    この写真を見せて、この希望を口に出すのは非常に恥ずかしかった。
    写真を見たドレ男は、「いいんじゃない?」とあっさり言った。日本で結婚式をやるより安いし、新婚旅行も兼ねられるし、「ゆずさんがやりたいのなら」と。
    それで、このような運びとなったのだが。
    (いや、このロケーションフォトは、例のパフュームの件で1度蹴られているのだ。このことを加味すれば、昨日から私がキレているのにも、多少の同情票が入ると思いたい)

    メイク道具を並べ終わったMさんと、鏡に向かって座るよう促された私。
    「どんなふうにしましょうか」
    「そうですねぇ…」
    ヘアスタイルについては、1か月以上前から、メールで打ち合わせがしてあった。
    ヘアを当日に決めるのでは、時間をくい過ぎる。また、当日に私が希望のヘアスタイルを言っても、髪の長さや質などで、出来ること・出来ないこともあるだろう。
    そう考えた私は、まず自分の顔写真を正面から撮った。それから現在のヘアスタイルが判るように、左右と後ろからも写真を撮って、Mさんにメールで送った。そして、自分がやりたいイメージに近いヘアスタイルをネットで探し、その画像も打ち合わせメールに添付した。
    ヘアスタイルを文章で伝えるのは難しい。ならば画像で見てもらうのが1番判りやすいと思ったからだ。
    そして渡仏1週間ぐらい前に地元のヘアサロンへ行き、Mさんからの指示通りにカットとパーマを済ませておいた。
    でも。
    顔のことまで考えていなかった。
    そのため「優しい感じで仕上げましょうか」というMさんのアドバイスに、即座に乗った。この日の予定はぎっちり詰め詰めなため、迷っている時間などないからだ。
    仕事に行くときですらノーメイクの私の顔に、さまざまなものが塗られていく。そのすべてが有名ブランドのものだった。
    お高そうなロゴマークを見て、「私の顔に塗られるとは思っていなかっただろうね」と、心の中でコスメグッズたちに詫びを入れる。
    そんな顔面塗装中、ドレ男がブーランジェリーの袋を下げて、戻ってきた。今日の予定では、ドレ男はこのときの買い物で、Mさんの昼食&飲み物と、これから合流するフォトグラファーとドライバーのぶんも合わせて、買っておくことになっていた。
    忘れずに買ってあるんだろうか?
    鏡に映るドレ男は、狭い部屋の隅でモサモサと朝食を取り始めている。確認をしたかったが、塗装中の私はヤツを振り返ることが出来ず、また、塗装が遅れるとそれだけスケジュールが狂うため、私はとりあえず黙っていた。
    その間にも、どんどんと進んでいく仕度。
    顔が終わると、次にはヘア。
    事前の打ち合わせは、しっかりしておいたヘアスタイル。だが結果として私は、ヘアにはだいぶ後悔している。本当にやりたかったスタイルを諦めたからだ。
    やりたかったのは、こんな感じ。


    ばらヘア

    やれば出来たのだが、癖の強い私の髪質ではだいぶ時間がかかる。薔薇の花びらをきれいに作るためには、癖毛をアイロンで直毛に矯正しなければいけないからだ。
    だけど。
    …やっぱりやればよかったかな…
    そんな未練は今もある。
    「ソレ判るわー、実は私もね」というウェディングでの消化不良をお持ちの方も、少なからずいらっしゃると思うのだが。

    顔と髪。
    そこまでが終わると、作業はいよいよ着付けに移る。
    まずは前開きの白いブラウスから、ブライダルインナーへの着替えだ。
    「手伝いましょうか」というMさんの申し出を、私は遠慮した。だってMさんは、日ごろ若くてピチピチの花嫁たちを見慣れているのだ。こんなおばはんの裸体を見せる度胸は、私にはない。
    私はインナーを手に、そそくさとバスルームに消えた。
    それと同じタイミングで、ドレ男も仕度を始める。Mさんにそう、声をかけられたようだった。

    ドレス選びよりも熟考した、ブライダルインナー。
    当方のブログの方にお見えのかたはご存知なことだけれど、若い頃、私はレイヤーだった。
    階層や層を表す“レイヤー”でも、ヘアカットの“レイヤー”でもない。
    ゴシックロリータのコスプレイヤーだ。
    なのでビスチェやパニエ、肘までのレースアップグローブ、ガーター、ガーターベルト、ボンネットやヘッドドレスなどは、おなじみのアイテム。今も捨てられずに、クローゼットにくさるほどある。
    そしてコスをきれいに見せるには、なによりもインナーが大切 …と私は思ってきたので、このフォトウェディングのときも、インナーをものすごく重視した。
    (ところで。なんで最近のゴスロリやってる子は“ロリータ”と書くと怒るんだろう?「ロリータじゃありません!ロリィタです!!本当にロリィタを愛している人は、ロリータなんて言いませんッ」って感じなんだが、私がガチでやってただいぶ昔は、そんなコトなかったけどなぁ。今はゴスロリもコスも市民権を得て、昔よりいい時代になってるんだし、そんなキリキリしなくてもいいと思うんだけど)
    インナーについては、はじめは昔着ていたビスチェでもいいかと思っていた。久しぶりに出してきて、試しに着てみたが、特に問題はなかった。でも残念ながら、どのビスチェもドレスとの相性が悪かった。ドレスの胸元や背中のデザインと、ビスチェのラインが合ってくれない。
    やっぱりブライダルには、ブライダル用じゃないとダメか…
    そんな当たり前のことに返りつき、改めてきちんと選ぶことにした。
    ネットで調べてみたり(この年齢でゼクシィとか・笑)、デパートに見に行ったり(娘のウェディングで~、などと言い・笑)。最終的な候補はセモア(C'EST MOI)とブライダルブルーム(bridalbloom)になり、かなり迷って… どちらも購入。
    けれどセモアの方は、ウエストニッパーのサイズでさらに悩むことになった。
    58にするか、64にするか。
    当時の私が、ヌードサイズで60はないぐらい。
    64では確実に大きい。でもドレスを着込んだ状態で、パリからベルサイユへ車移動するとなると、座っている時間が結構長い。腹部をだいぶ、圧迫されそうな気がする。
    58でもたぶん着られるし、それほど問題もないだろうけれど、軽くきつめな58で、ドレス着て座って長距離移動って…うーん…
    このサイズ選びは本当に迷って、かなり迷って、結局58にした。
    インナー選びをしていたときの私は、166cm45kg。まだ体調が悪く、さらに痩せることはあっても、太ることはあり得ないと思ったからだ。
    私はこんな経緯で決めたインナーを、バスルームで黙々と着込む。別に難しい作業でもないのに、本番となると妙に焦った。
    ちなみに実際に着たのはセモアのPURE Gだ。
    熟考したウェストのサイズは58でも余裕があって、Mさんに「細っ」と驚かれた。さすがにちょっと前にICUにいただけのことはある。この頃の私は、痩せていくのを止められないでいたから。
    セモアのインナーに、手持ちのドロワーズ。
    そんな姿で再び部屋に戻った私が、次に身につけるのはパニエたちだった。
    パニエは3種類持ってきていた。
    ブライダルインナーと同じく、ドレスを美しく見せるために、パニエは非常に重要。
    このフォトウェディングでの私の目的は“自分を出来る限り美しく見せたい”のではなく、“ドレスを美しく見せたい”になっている。元レイヤーの(さが)である。
    ゆえにパニエは、早いうちからオーダーメイドしていた。
    ひとつはドレスをふんわりと膨らませるもの。5段のワイヤーを入れた、かさ張るものだ。かさは張るが、よくあるタイプのパニエでもある。
    私が実際に着たものとは違うが、イメージとしてはこんな感じ。


    【T-bright】さんより

    5段パニエを着てしまうと、膨らんだ裾で、直径1メートル以上は私の近くに寄れなくなる。ここが結婚式場のメイクルームなど、スペースのある場所なら良かったのだが、このとても狭い部屋の中ではかなり厄介だ。それでもMさんはササッとパニエを環状にまとめ、着付けのためのスペースを作った。
    18世紀パリの架空の場所。
    その素敵な小部屋で着てみたパニエは、思った以上に面積を取った。それをMさんは、付属のベルトでウエストにしっかり巻き留める。
    次に身に着けるのは、長くひくトレーンを美しく見せるためのもの。
    これも私が着たものとは違うが、似たイメージの画像を。


    【SHOPLIST.com】さんより

    私が持ってきたものは、こんな感じのフィッシュテール風パニエで、でも後ろの裾がもっと長いものだった。さらに違っているのはパニエ自体の作りで、前の方には装飾がない。
    このトレーン用のパニエは、5段パニエのサイドに取り付け用のループがあるので、“着ける”いうより“付ける”ものになる。イメージとしては裳のような感じか。
    パニエを2つ付けると、私はますます動きにくくなった。わしゃわしゃとしたレースに埋もれるよう。そのためMさんは、着付けをするために自分の立つ場所を作るのが、とても大変そうだった。
    Mさんはかさ張るパニエをよけて、最後のバッスルパニエを取り付ける。
    「バッスルパニエ?なんじゃそりゃ」という方もいらっしゃるかもしれない。
    ので、これも似た感じのものをご紹介してみる。


    左が【きものひろば悠】さんのバッスル用クッションドレスパニエ。
    右が【SHOPLIST.com】さんのバッスルパニエ。

    私の持っているものは、この2つを合わせたようなもの。
    右のパニエの、ウエストの辺りのレースが厚く重なった部分が、左のパニエのようにクッションになっている。自分のものをUPすればよいのだが、ウォークインクローゼットのもっとも奥にしまいこんだパニエを発掘するのは、気が進まなかった。また、クリーニング済みで真空パックのブライダル関連のものを開けたくないという気持ちから、やめておいた。
    しかも私がオーダーしたパニエの専門店が、久しぶりに検索してみたらなくなっていたという…
    そんなわけで、似た感じのものをネット検索し、紹介してみた。

    バッスルパニエにも、取り付け用のコードやループがあり、付ける作業自体は簡単だった。
    3種類のパニエを身に付けると、狭い部屋の中では本当に動けなくなってくる。
    次にはいよいよ、ドレスの出番となるのだが。
    私の仕度だけに注力していたMさんが、ドレ男へと目を向けた。
    「ではドレ男さんは、1階のロビーで待っていてください」
    「あ。はい」
    そのやり取りを、私は妙に感心して聞いていた。
    そうか。ドレス姿は出来上がるまで見せないのか。
    当たり前のことなのかもしれないけれど、確かに仕度の工程を全部新郎が見ていたら、そりゃドラマ性がないもんな、と納得した。きっと若いカップルだったら、美しく装った嫁を見て、新郎が感激したり感涙したりするんだろうな、なんて。
    仕度をセルフで終えたドレ男が、部屋を出ていく。
    それを待ってから、Mさんが天井の梁から吊っていたドレスを下ろした。



    パリ入りしてからすぐに室内の写真を撮ったのち、部屋の中はずっとこんな感じだったのだ。
    また、昨日の観光からいったんホテルに戻った夕方には、部屋にメッセージの付いたシャンパンが届いていた。


    ご結婚おめでとうございます。
    我々一同、お客様に幸多かれと祈っております!
    (バスルームの)ミニバーにシャンパンがあります

    梁から吊られたドレスに、それと察したカロン・ド・ボーマルシェからのギフト。
    このシャンパンがあったから、昨夜のモガドール劇場でドレ男が「シャンパンなんて部屋で飲めば」と言ったのだった。

    このカロン・ド・ボーマルシェからのメッセージ。手書きだけに少し判別しにくい文字もあり、私はフランス語の出来る方に訳していただいた。
    パリ在住の日本人女性で、フランス政府の公認ガイドをしていらっしゃる辻田明子さん。
    普段のメールのやり取りでは、私は“Akikoさん”と表記することが多いのだけれど、この方にはプチ・トリアノン宮やアモーの一般公開されていないゾーンでのガイドをしていただいたことがある。
    ベル宮には一般公開されていないエリアがたくさんあり、単発のガイド付きツアーとしてのみ入場できる。
    ガイド付きツアーは英語かフランス語、またはフランス手話のみで案内されるため、私はAkikoさんにガイディングツアーへの通訳として帯同を依頼したのだ。
    それまでにも、いろんなところでガイディングツアーに参加したことはあったけれど、やはり通訳・日本語ガイドしてくれる方がいてくれると、理解が違う。
    もし機会があったら、ガイディングツアーには日本語ガイドを個人的につけることをお勧めする。
    もしAkikoさんに依頼したいと思った方は、私の方へご連絡ください。
    (Akikoさんの連絡先を教えてよいのか、判らないので)
    また、Akikoさんにガイドしていただいた旅行記は別の機会に書くので(ベルパリツアーオフ会)、そのときのガイドの様子や一般公開されていないアモーの王妃さまの家や劇場内部など、お読みいただけるかと思う。

    小さな部屋で、思った以上にかさばるドレスへの着替え。
    パニエが3つあるのもその理由だが、かさばってしまうもっとも大きな理由は、ドレス自体の質量だった。
    私がドレスを選んだポイントは、いくつかある。
    まずは、レンタルは対象外、ということ。
    海外へ持って行き、屋外で着る。これはかなりリスキーで、どんな汚し方をするか判らない。もしかしたら、破損することだってありえる。
    ドレスレンタルの会社はいくつか見たが、海外持ち出し禁止のところが多かった。レンタル出来たとしても、借り出し日+旅行期間いっぱい+返却日の長期レンタルになるため、かなり高くつく。
    よってレンタルは、早い段階から除外していた。
    次にこだわったのはデザインで、優先順位で書くと以下になる。
    ・バッスルスタイル
    ・トレーン長め
    ・デコルテや肩は出さない
    ・腕もできるだけ出さない
    ・プリンセスもしくはベルライン
    こんな感じだった。
    私がもっともこだわったのは、バッスルスタイルであること。
    「バッスル?なにソレ」という方もいらっしゃるかもしれない。
    バッスルスタイル。
    バッスルドレス。
    クリノリンスタイル。
    クリノリンドレス。
    呼び方は他にもあるかもしれないが、これらのスタイルは、ピクシブ百科事典によると以下のような説明になる。

    『19世紀後半(1860年~90年代)に流行したスタイル。
    腰当(バッスル)を着用しオーバースカートの裾をたくし上げて、ドレスのヒップラインを強調したもの。真横から見ると、コルセットで支えられた胸と合わせ、Sの字を書いたようになる。
    日本でも明治時代、貴婦人の肖像画や鹿鳴館の舞踏会を描いた浮世絵などでバッスル・スタイルの女性が描かれている。』


    判りやすいイラストをはってみる。





    この、少し古めかしいラインを持つドレス。
    これがどストライクな私の趣味で、そこにウェイトをおいてドレス選びをした結果。
    購入したのはコレ↓







    長く引くトレーンと、正面よりも背面に凝ったデザイン。デコルテや肩が出ることもなく、袖も長め。しかも「たぶん見つからないだろう」とはじめから諦めていた姫袖(パコダスリーブ)でもあったので、見た瞬間に即決していた。
    運が良いというのか、縁があったというのか、これがドレス選びの1着目だったものだから、選びから購入まで、わずか10分でかたがついた。
    欲を言えば、ラインにプリンセスやベルほどのボリュームがないのだが、それでもこのドレスは重量が6kgもあり、狭い部屋の中では、ますますその存在感を発揮したのだった。

    いよいよ大詰めとなる、仕度。
    ただでさえわさわさしているうえに、首元までをレースで覆うデザインなので、着付けは非常に慎重な作業となる。
    といっても、慎重な作業をするのはMさんで、私はただ動かずじっとしているだけ。
    3層のパニエにドレスを重ね着して、インナーとのアウトラインを整える。
    最後に靴を履いて、仕度は終了となった。
    ちなみに靴はスニーカーだ。ブライダルシューズも持ってきてはいたが、なんといってもロケーションフォトは歩くので、ほぼスニーカー一択だった。
    加えてこのドレスは、正面から見たときにドレスの裾がスレスレで地面につかないことが、正しい着こなしになる。
    「ブライダルシューズも履いてみます?」
    「んー、いいです。スニーカーの方が歩きやすいし、ドレスの裾もぴったり地面スレスレだし」
    そんな会話をしつつ、Mさんがいろんな方向から見た目のチェックをしていると、この日お世話になるフォトグラファーから、到着連絡が入った。
    「じゃ、行きますか」
    「はい」
    18世紀パリの架空の場所。
    その素敵なお部屋はとても小さいので、布に埋もれた私が動くには、ちょっと工夫がいった。長めのトレーンと長めのパニエをたくし上げて抱えるMさんと私、たった2人でエレベーターがいっぱいいっぱいになる。
    私がロビーに出ると、ドレ男が長椅子に座って所在なげにしていた。
    「待った?何してた?」
    そう軽く声をかけて、それからフォトグラファーのFさんと、はじめましてのご挨拶をする。
    ドライバーもすでにホテルそばに到着していて、いよいよロケーションフォトのスタートとなった。

    さて。
    フォトウェディングだとか、ロケーションフォトだとか。
    何が違うの?と言われそうだが、たぶん同じなのだと思う。
    もし使い分けるとすれば、私のイメージだと「動きまわるかどうか」で多少の違いがあるような気がする。
    この日の私たちはベル宮だけでなく、大小トリアノンでも撮影予定があり、また、パリに戻ってからも数か所で撮影をする予定だった。時間にすると15時間ほどにも及び、移動距離もかなりある。そのため一応、ロケーションフォトという表現を選んだ。
    自分たちでは、フォトウェディングという言い方をしていたけれど。

    「では」
    「よろしくおねがいします」
    ホテルのドアを開けてもらって、外へ出る。
    さぁ、本番。
    この仮装…いや、ブライダルファッションを装備して、いよいよ街へ出るのだ。


    【ベルサイユ de ブライダル2】へつづく
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