フランス旅行回想録 【 Voyage 】

こちらは管理人のフランス旅行記です。
旅行前の準備のこもごもや、旅行中にフランスからUPしていた雑文、帰国してからの回想録などを置いています。

★2013/5 回想録
旅行準備から現地UP版までは、かつて【Hermitage】というおまけノベルを集めたブログにUPしていたものからの転載。
回想録からが、この「Voyage」でUPしはじめたものです。
(今はクレーム等により一部公開していません)

また、この旅行記には、追随するコンテンツとして【Webアルバム】がございます。
アルバムでは、管理人の訪れた各地の画像が2000px以上の大判サイズでご覧いただけます。
ベルサイユ宮殿や大小トリアノン宮などのお部屋が、壁紙の模様や扉のひび割れまで見える詳細さでUPされております。
スライドショーにすることも出来ますので、ご覧になれる方はどうぞ。
全部で1183枚の写真がご覧いただけます。

★2015/4 回想録
2015/6/12よりUPを始めました。
こちらもWebアルバムをUP中で、ただいまは3410枚の画像がご覧いただけます。
最終的には、およそ5500枚程度のアルバムになる予定です。

 

    お土産屋さんのおねえさんに教えてもらった通りに道を進むと、メトロの入り口はすぐに判った。
    来たときとは違う駅だが、駅の壁に貼られた路線図で確認すると、モンパルナス駅はやはりそう遠くない。


    メトロのモンパルナス駅(モンパルナス=ビヤンヴニュ駅)構内。


    こちらがSNCF(Société Nationale des Chemins de fer Français = フランス国鉄)のモンパルナス駅1F構内。

    私がSNCFのモンパルナス駅構内に来たのは、その日が初めて。
    それでも、シャルトルはロワール地方に分類されていて、その方面の発着が2階になるのは知っていたので、とりあえずエスカレーターで上がってみる。


    比較的空いたロワール方面の構内。

    さて、シャルトルまでのチケットを買わなければ。
    そう思って構内をなんとなくうろうろすると、券売機がたくさん並んだフロアに出た。
    日本の券売機のように壁付けではなく、1台1台が等間隔でフロアに並んでいる。それも横1列だけとかではなくて、縦にも横にも、何台も。
    チェス盤かよ。
    そんなことを考えながら、一応券売機をのぞいてみる。
    タッチパネルに触れると、基本画面は当然フランス語。
    そこから英語を選択し…
    まずは到着地の頭文字を入れると、候補が出てくるんだっけ?
    なんて思い、少しはやってみようかと思ったのだが、私はすぐに面倒くさくなってしまった。
    窓口に行こう。
    フロアの奥には、ガラスの扉で仕切られた広いチケット売り場がある。
    私はそこに入っていって、乗車券を買う人の列の最後尾についた。
    結構な人数が並んでいるが、カウンターの数も多いのでそれなりに流れて行く。
    暇つぶしにあたりを見回せば、有人のチケット売り場内にも券売機はあるのだが、誰も使っていない。私が最初にやってみようと思ったたくさん券売機が並んだあたりでも、それを利用しようとしている人はいなかった。
    旅行ガイドに「パリの人は券売機よりも窓口で買うことを好むので、窓口で乗車券を買いたい人は、そのぶん時間に余裕を持って駅に向かった方がよい」と書いてあるのは読んでいたが、なるほど本当だったのだなぁ、と思いながら、誰も使っていない券売機を眺めたりしていた。


    SNCFの乗車券、でかっ。
    膝の上に置いて、この大きさって一体…

    往復でチケットを買って、ホームのある方へと適当に歩きながら、時刻表のモニターを見てみる。
    シャルトルに行く列車は…っと。


    え”?

    左上の青いモニターの1番上に、ル・マン行きの表示。発車の時刻は13:06だった。
    あと6分!?
    ル・マン行きはシャルトルにも止まる。どうせなら、これに乗りたい。
    ちょっ、Voie20ってどこ!
    そのとき頭の中に浮かんだのは上野駅で、目指す乗り場がすんごく遠いイメージだった。
    辺りをきょろつけば、私のいるところはVoie3と4のそば。
    20となれば、相当遠いイメージがある。
    私は出来る限り急いで、Voieの数字の大きくなる方へと向かった。

    Voieというのはプラットホームのことらしく、今回でいうなら「20番線」といった感じにとらえれば良いようだ。
    でも、私は見たことがないのだが、フランスの鉄道では、Voieの他にもQuaiと表されることもあるらしい。Quaiを「ホーム」と説明している旅行ガイドもあるので、VoieとQuaiは同じようなものと思っておけばいいのだろうか。そこらへんのことは、今も私には判らない。
    また、フランスの鉄道では、このVoieだのQuaiだのいう乗り場が、ぎりぎりまで判らないことも結構ある。
    TGVのような長距離の高速鉄道などでも、発車の20分ぐらい前まで乗り場が表示されなかったりする。よく知っている駅ならよいが、初めて訪れる大きな駅だったりすると、ホームを探すのに手間取り、発車に間に合わなくなりそうでヒヤヒヤするそうだ。

    Voie3から20へ。
    すごく遠い気がして焦った私だったが、実際はたいした距離ではなかった。
    プラットホームが比較的タイトな間隔で、1から順にきれいに並んでいたおかげだ。なになに線はあっちだとか、ホームとホームの間が階段でさえぎられるとか、発着フロアにそういった配置はまったくなく、Voie1から奥へずら~っと見渡せるのが幸いだった。


    こんなのが1から順にドーンと並んでいる。終点までの全停車駅も書いてあるから、とっても簡単。


    私が持っているチケットは2等車なので、まずは側面に「2」と書いてある車両を探さなければ。


    と、その前にコンポステを忘れずに。

    コンポステというのは、↑の写真の右側に写っている刻印機のこと。黄色だったりオレンジだったり、色はいろいろあるらしい。(私は黄色しか見たことがない)
    この刻印機にチケットを差し込むと、日付けと時間が印字される。
    SNCFには、日本みたいな改札はない。乗るときには、自分でコンポステを使って乗車の日時を入れ、目的地で降りたあとは勝手に駅を出るだけ。そのぶん検札がしっかりあり、コンポステを忘れたり乗り越したりすると、厳しく罰金を取られるそうだ。
    ちなみに、フランスには乗り越し清算というシステムはない。うっかり乗り越すとものすごく怒られ、罰金を請求される。乗り越したくなってしまったら一度列車を降りて、目的地までのチケットを新たに買い足さなければならない。


    シャルトル駅のホーム。

    モンパルナス駅からシャルトルまでは、1時間ちょい。
    私が乗ったTERはちょっと混んでいて、私は車両の出入り口付近の折りたたみ席を倒して座っていた。
    そこはちょうど車内の1F席と、2Fへ上がる階段の脇だったので、列車が停車する直前には2つの階の乗客が扉の前で詰まる。そのため、「シャルトルは次ですか?」とか「ここがシャルトルですか?」など聞きやすく、座り心地は悪かったけれど、都合は良かった。
    TERというのはTransport express régionalの略で、SNCFの鉄道網の1つだ。ざっくり言ってしまうと、地域圏ごとに走っている急行みたいな感じ。
    席には1等と2等があり、私は「どっちがいいのかなぁ。具体的にどんな違いがあるんだろ」なんて思いながらチケットを買いに行ったけれど、窓口で担当してくれたふくよかなマダムは、私にな~んにも聞かずに2等を発券した。それは2等の方が一般的な売れ筋なのかもしれないし、私が1等を買うようには見えなかったからかもしれない。


    シャルトル駅。左側に写っている黄色&グレイのモニタが付いたものが券売機。


    駅から1歩出ると、もう見えるシャルトル大聖堂の尖塔。


    シャルトル駅の外観。

    大聖堂への道順は判らないけれど、尖塔を目指して適当に歩く。


    趣のある小路やカフェがあちこちにある。


    甲冑の立つお土産屋さんなども。


    こんな看板を上げているけれど、ここもお土産屋さん。

    こうした「Toilettes」という看板を掲げたお土産屋さんは、観光地では結構見る。
    トイレ事情の悪いフランスでは、お土産屋さんがトイレ屋さんを兼ねていることがあり、有料でトイレを貸している。こちらのお店の使用料は0.50ユーロだが、お土産を買ったら無料で使わせてくれるとか、そういうサービスはない。
    前回行ったモン・サン・ミッシェルでも0.50ユーロだったし、確かルーブルの地下のトイレも0.50ユーロだった気がする。それが相場なのかもしれない。


    シャルトル大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Chartres 1145年着工) の正面「王の扉口」。
    この聖堂のもっとも大きな特徴は2つの塔。左右の塔の建築様式が違うのは、1194年に大火に見舞われ、街の一部とともに聖堂の西側が焼失し、26年の歳月をかけて改築が行われたため。
    左側の北塔は16世紀のもので、高さ113mのフランボワイヤン様式。右側の南塔は八角錐のロマネスク様式で、高さ105m。


    文章で説明するのが難しいのでNo,をふってみた。


    1の王の扉口。
    右側の扉から入っていく男性と比較すると、この扉口の大きさが判るかと。
    この木戸も重いのだけれど、扉を入ってさらに内側にある扉が本当に大きくて重く、それをぐぐっと押し開け聖堂の内部に入る。

    右扉の上の彫刻→受胎告知からキリストの誕生。
    左扉の上の彫刻→使徒伝。
    中央扉の上の彫刻→キリストの福音。タンパンの中央は福音書を持つキリスト。
    タンパン=扉の上部の半円形の部分。


    2の部分。内側から観ると、見事なステンドグラスになっている。


    3 ばら窓。こちらも内側から観ると鮮やかな色彩のステンドグラスで、このあとの内部の様子のところでUPしています。


    4 13世紀初頭に作られた北翼廊ファサード。こちら側はあまり敷地面積がなく、隣の建物の壁いっぱいまでさがっても、写真に収まりきるのはこの程度。被写体が大きすぎるので、ファサード全体を入れるにはもっとずっと離れないと。


    4 中央の扉のタンパンのアップ。ほんとに細かな装飾でいっぱいで、いったいここに何人いるのやら…


    4 ばら窓。


    4 聖堂側面の壁に設えられた大きな時計は16世紀頃のものだけれど、現役稼働中。針が動いているのを確認できる。


    5 聖堂正面から5の方へ歩いて行くと、まず見えてくるのが修復工事。


    5 修復工事をしている向かい側には、カフェやお土産屋さんが並んでいる。
    シャルトルのきれいなはがきが届いた方もいらっしゃると思うけど、このお店で買ったものなんですよ。


    5 南翼廊ファサード。ここにも塔を2つ建設予定だったとか。
    中央扉のアップをUPしてみよう。ちょっと画像が暗いんで、明るさを足す加工をして…っと。


    5 扉の前、中央に立つのは福音書を持ったキリスト。その右に立つ5人は12使徒で、内側から、聖パウロ・聖ヨハネ・大ヤコブ・小ヤコブ・聖バルトロマイオス。(キリストを挟んで反対側にも使徒たちがいる)
    扉上部の彫刻は最後の審判。タンパン中央にキリスト。その左右は聖母マリアと聖ヨハネ。
    判りにくいので、写真の原寸大を切り取ってみるか。


    ヨハネの右の天使は鞭打ちの鞭を持っているはずなのだけれど、やっぱりよく判らない。(現地で肉眼で見ると、位置が高すぎてもっと判らない・笑)
    キリストの左上の天使が持っている厚い皿みたいな塊は茨の冠で、右上の天使は釘を、タンパン最上部にいる2人の小さい天使は十字架とキリストの遺骸を包む布を垂らしている。(昔読んだ、『トリノの聖骸布』を思い出したりした)
    タンパンの下にずらーっといる天使たちの中心は聖ミカエルで、死者の魂の重さを計測中。天へと召すか地獄に落とすのかを決めている。


    5 聖堂にはよくガーゴイルがいるけれど、ここのガーゴイルもいいお顔をしていらっしゃる(笑)

    ガーゴイルは主に怪物をかたどった彫刻で、聖堂のあちこちや宮殿などの高い位置にちょいちょいいる。雨水などを口から吐き出す雨樋の役割を果たしている。
    パリのノートルダム大聖堂のガーゴイルも見事で面白いので、2013/5【Voyage】の第5話「さまよえる腰痛女」をご覧いただくと、聖堂の高い位置にいるガーゴイルのイメージが多少は判るかもしれない。(この章にはパスワードはかかっていません。だいたいの章にかかっていないけれど)


    5 ばら窓。


    5 さらにアップで。
    小さな装飾の彫りこみまでが、こんなにしっかり残っているなんて。


    6 南翼廊ファサードを過ぎ、聖堂の裏側へと進んでみる。
    私はファサード正面の美しさよりも、こうした裏側に気持ちが惹かれてしまう。


    6 渡り廊下の古びた感じにどうにもテンションが上がって、阿呆のように長い時間見とれていた。
    この画像はBigsizePhotoでご覧いただくと、朽ちた趣が本当に素敵です。壁のひび割れや苔むしたさまを、ぜひ見てみてください。


    6 中央の縦長のステンドグラスのはまった多角形の部分は、内側から見ると大変な壮麗さ。


    6 大聖堂の真裏。こちら側に背を向けているのが聖ピア礼拝堂部分。


    6 シャルトルは坂の街なので、大聖堂は裏から見ると高台に位置しています。
    聖堂の裏の庭から臨めるのは、のどかで可愛らしい街並み。

    …と、このように外観をざっと1周UPしてみたのだけれど、実際の私の行動は違った。
    駅を降り、大聖堂にまっすぐ向かった私が最初にしたことは、クリプトツアーの予約だった。
    シャルトル大聖堂は基本的に見学無料で、ミサの時間以外は自由に入れる。
    けれど、北塔と聖堂のクリプト(地下納骨堂)の見学は有料になっている。
    ことにクリプトは時間の決まった予約制で、事前にチケットを買っておかなければならない。
    今回のシャルトルでは、ぜひこのクリプトツアーに参加してみたいと思っていたので、私は出発前に催行の曜日も時間もきっちり調べていた。
    催行は概ね毎日あるのだが、曜日によって回数がずいぶん異なる。私が行った4月は、曜日によっては日に1回しかないときもあり、そのあたりも鑑みて、シャルトルへ行く日の心積もりをしていた。

    シャルトル大聖堂の見学時間や塔の営業時間(営業時間って言っていいのかね)と、クリプトツアーの催行については
    こちら→【シャルトル大聖堂公式HP】
    「公式」といっても、このHPはフランス国内の世界遺産などの総合的なHP(Centre des monuments-nationaux=国立モニュメントセンター)で、上記のURLはその中のシャルトル大聖堂のTOPの部分なのだけれど。

    大聖堂に着いた私は、まずクリプトツアーの申し込み場所を探した。
    でもそこはガイドブックにも載っていなかったし、旅行者の個人Blogを漁って調べてみても、いまいちよく判らなくて、着いてから探さなければならなかった。
    出発前に判っていたのは「判りづらい場所」ということと、大聖堂の入り口付近のチケット売り場では、北塔に登るためのチケットしか売っていないということだった。
    個人のBlogでは、聖堂に入ったら左側にあるチケット売り場ではなく、右側の奥に進むように書いてあったのだけれど。
    私は読んでいたよそさまの旅行記を思い描きながら聖堂内を歩き回り、クリプトツアーの申し込み場所を探したけれど、全然見つからなかった。
    だいたい聖堂の内部にスタッフがそれほどいないのだ。
    塔のチケット売り場とギフトショップ、パンフレット売り場。人がいるのはそこぐらいで、他には受け付けのようなものはない。
    私はいったん王の扉口から外に出て、入り口の鉄柵のあたりで見学者を仕切っているおっちゃんに声をかけた。
    「えくすきゅぜも?」
    クリプトツアーの予約がしたいとか、そこらへんの要望をフランス語で伝える語学力はなく、そこから先は英語だった。
    「4時からのクリプトツアーの予約をしたいのですが。受け付けはどこですか?」
    「のん、あんぐれ」
    …って、Non,anglais?
    おっちゃんに英語は話せないと言われ、私は一瞬だけ諦めかけた。
    でも幸いなことに、私は日本から上記のHPのクリプトツアーのページを印刷してきていた。
    シャルトルに行くのは、天気のいい日に。
    そう思っていたので、いつ行くことになっても大丈夫なように、4/17から数日ぶんのクリプトツアーのタイムテーブルがUPされているページを持ってきていたのだった。
    準備しといた自分、グッジョブ。
    私はその日のツアーの予定時間が書かれたものをおっちゃんに見せ、あとはぐちゃぐちゃのフランス語と英語で、どこで予約をすればいいかを聞いた。
    すると、言いたいことは伝わったらしく、おっちゃんもフランス語と英語がぐちゃぐちゃで説明してくれた。
    クリプトツアーのチケット売り場へは、どうやら聖堂内には入らず、南翼廊ファサードの方へ行くらしい。
    おっちゃんはそちらを指差して、あちらへ回り込むんだよ、といった仕草を繰り返す。でも、そこから先の説明が全然判らなかった。
    左へ曲がって、まっすぐ。それは判った。そして青い何かがあるらしいのだが。
    しばらく説明してくれたおっちゃんは、こりゃダメだと思ったらしい。
    「おいで」
    王の扉口を離れ、南翼廊ファサードの方へ歩き出した。
    私は慌てておっちゃんと足並みを揃え、修復工事中のあたりまでを一緒に歩いた。
    そして、そこまで来るとおっちゃんは、少し遠くに見えるお土産屋さんを指差した。
    聖堂の外観の5としてUPしている、私が絵はがきを買ったお店よりも奥の方。


    ちょうどいい位置関係から撮った写真があったので貼ってみる。

    おっちゃんが教えてくれようとしていたのは、どん詰まりに見える小さなお土産屋さんで、青い何かとは、どうやらその店の青い窓枠のことのようだった。
    それが目印だよ、と。
    ようやく理解した私は、お礼の言葉とともに日本から持参したストラップを取り出した。
    ちっこいポチ袋から出し、チャーム部分の日本語を説明する。ひらがなで書かれた「ありがとう」という言葉は、Merciを意味するのだと。
    ついでに、その反対の面に書かれた“yuzu”というのが私の名前だとも説明すると、おっちゃんは判った判ったと頷いて、笑って受け取ってくれた。
    20コほど持ってきたストラップ。第1号が私の手を離れたのは、シャルトル大聖堂の前でだった。


    こちらがその「青い窓枠」のお店。


    近づいてみれば、確かに「Visites guidees LA CRYPTE」と書いてある。

    このお店は位置的には大聖堂に近く、上の方で「6」とした裏側へ向かう道すがら、並ぶお店の中でももっとも奥にある。
    王の扉口付近からでは、とてもこの店の「Visites guidees LA CRYPTE」なんていう文字に気付けやしない。
    はぁ~。噂通りの判りにくさ。
    私はてっきり、大聖堂内のどこかに受け付けカウンターがあるものと思いこんでいたので、おっちゃんに教えてもらわなかったら、絶対ここには気づかなかっただろう。
    気づいたとしても、お土産を見るのなんて内部を見学したあとだろうから、きっとその時にはクリプトツアーも終了していたに違いない。
    私はおっちゃんに感謝しながら、お店の中に入っていった。
    小さく可愛らしい店内。
    その奥にお会計用のカウンターがあり、おねえさんが1人いる。
    「ぼんじゅー」
    「bonjour」
    「くりぷと ちけ あんあだると しるぶぷれ」
    単語を並べただけだが、私がそう言ってみると、おねえさんはレジの辺りからチケットの束を出した。
    どうやら通じたらしい。
    「trois」
    「とわ?」
    「Oui,oui.trois」
    クリプトツアーの料金は、ガイドも付くのにたったの3ユーロ。


    横長のチケットがクリプトツアーのもの(3ユーロ)。
    その上の2枚は、左側がシャルトル大聖堂の北塔にのぼるためのチケット(5.50ユーロ)。
    右側はカタコンブのチケットで、この2枚は同じ…というかシリーズものというか、表面がフランス各地の名所の写真で、裏面にその施設の名前と料金が印字されている。

    私が3ユーロを支払うと、おねえさんはB5ぐらいの紙を見せた。クリアファイルに挟まれたその紙には、時間のようなものがいくつか書いてある。
    クリプトツアーの開始時間…?
    おねえさんは“15:30~”のところを指差している。
    私が事前に調べてプリントアウトしたタイムテーブルに3時半からの回はないが、こうして教えてくれているのだから、次のスタート時間は3時半なのだろう。
    帰ることを考えれば、例え30分でも、早く始まってくれた方がありがたい。北塔も見学時間が限られていることだし。
    私はそう納得したが、おねえさんの説明はまだ続いていた。
    どこで区切れているのかも聞き取れないフランス語。
    うーん、さっぱり判らん。
    おねえさんはしばらく説明してくれたけれど、さっきのおっちゃんと同じく「こりゃダメだ」と思ったのか、私の手を引くと店の外へ出た。
    道を渡って、南翼廊ファサードと渡り廊下の間あたり。鉄柵の途切れ目に扉がある。
    おねえさんは、私をその近くまで連れて行った。
    「ここがクリプトよ」
    フランス語だったから判らなかったけれど、たぶんそのようなことを言ったのだと思う。
    そしてまた店先まで戻り、入り口の横に置いてあるベンチを指して説明をした。
    ツアースタートは3時半だけれど、その15分前にはこのベンチの前に戻ってくるように。
    自分の腕時計の文字盤を示して、フランス語で丁寧に教えてくれた。
    「判った?」
    「だこーる。めるし。」
    私が理解したと判ると、おねえさんはすいっと店の中へ戻って行った。

    2013年のフランス旅行でもっとも多く使ったフランス語は『Excusez-moi』だった。
    エクスキュゼ モア。
    「あの、すみません」とか「恐れ入りますが」といったニュアンスで、何か頼みたいときに、まず切り出しにこの言葉を使った。滞在中、何回言ったか判らないぐらい言った。
    でも今回は、それ以上に多く『D'accord』を使った。
    ダコール。
    判った、とか、了解しました、とか、そんな意味合いの言葉で、少し気にかけてみれば、街中でもかなり耳にする。
    ブーランジェリーのお会計などでも、売り子のマダムがお客さんに「クロワッサン2個」なんて言われて、「Oui,oui.D'accord.」なんて答えているのは、よく聞こえてきたし。

    古びた木製のベンチ。
    ここに3時15分ね。
    私は腕時計を確認し、このぶんならクリプトツアーに参加した後でも塔の見学時間に間に合うと喜んだ。
    そして、もう1度お店の中に入っていった。
    再び店内に現れた私を見て、おねえさんは「え!?」というような表情をした。
    「どうしたの?何か判らないことでも?」
    私はその表情に
    「ああ、ごめんなさい。なんでもないんです」
    と言いながらカウンターに近づき、例のストラップを取り出した。
    今回は透明な袋にたくさん入った状態のままで差し出して、おねえさんに好きな絵柄を選んでもらった。
    「よかったら、お好きなものを」
    私がそう勧めると、おねえさんは「まぁぁぁ!」と喜んでくれて、ストラップをカウンターに並べ、選び始めた。
    鶴や富士山や流水模様。いかにも和風な絵柄は、おねえさんの目にはどう映ったのか。
    私がストラップに入れた「ありがとう」の文字の読みと、その意味を説明すると、おねえさんは「ありがとう、ありがとう」と練習するようにぶつぶつつぶやき、やがて1つを選んでくれた。
    「これはあなたのハンドメイドなの?」
    「ええ、まぁ」
    厳密に言うと絵柄はシールを利用したものなのだが、私にそこまで説明出来る語学力はない。
    ストラップを受け取ってもらえただけで、もうじゅうぶん。
    そう思って、私は散らばったストラップを手早く片付けた。
    「おーぼわ」
    小さくペコリと会釈して、カウンターから離れる。
    するとおねえさんは「待って待って」と言いながら、私のそばまで寄ってきた。
    「ビズを忘れてるわよ」
    …へ?ビズ?
    って、えーっ!?
    内心かなりうろたえる私に、おねえさんはふわりと顔を近づける。
    互いに左右の頬を軽く触れさせ、耳もとで小さくチュッと音がした。
    …あ…ダメだ、コレ。
    って何が駄目なんだかよく判らないけれど、なぜだか私はそんなふうに思い、ついでに頭の中の違うところでは
    「アランがオスカル・フランソワにビズをされたら、きっとこんなふうになるな。なんかのノベルでこの場面は書かなければ」
    などと、くだらないことも考えていた。

    外国映画などで観る、ビズという習慣。
    日本人同士では絶対しないし、まさか私の人生でビズなんて、そもそもあるとも思っていなかった。
    この2度目のフランス旅行で、印象的な出来事はいくつもあったが、これがこの旅で最初の、そして1番印象深い出来事だった。

    「めるし。おーぼわ」
    「Au revoir,Yuzu」
    おねえさんにお別れを言って、私は今度こそ本当に店を出て、南翼廊ファサードの入り口に向かう。
    その途中で、私にクリプトツアーのチケット売り場を教えてくれたおっちゃんとすれ違った。
    「Ca va?(サヴァ?)」
    “ca va”は結構柔軟な言葉のようで、「元気?」のように訳されることが多いけれど、その場次第でいろんな意味になる。
    意訳になるけれど、この時おっちゃんは「どうだった?」みたいなニュアンスで言ったのだと思う。
    私が「Ca va!」(だいじょぶだった!)と答えると、おっちゃんは手を振りながらすれ違っていった。

    ところで、クリプトのチケット売り場のおねえさんとの会話だけれど。
    はじめはフランス語で話されて、さっぱり判らなかった。
    でも、ストラップを差し出したあたりからおねえさんは英語を話していて、気がついたら上記のような展開になっていた。
    今思うと、私がおねえさんに話しかけたときが片言のフランス語だったので、たぶんおねえさんは私が英語が判らないと思ったのだろう。私もおっちゃんが「のん、あんぐれ」だったこともあって、なんとなく英語を使わなかったし。
    お互いに最初から英語で話していたら、話はもっと早かったはず。
    けれど、もしテンポよく話が済んでいたらこんな印象深い経験は出来なくて、だからきっと、物ごとはそうなるように導かれているんだろうな、と。
    そんなふうに思ったのだった。

    南翼廊下ファサードの、古めかしく厚い木の扉。
    半分開かれたそこを通ると、さらにまた扉がある。


    入っていく女性の後ろ姿と比べると、表の扉の大きさや構造が判りやすいかと。

    2つ目の扉を入ると、内部はすぐに突き当たり、右か左に行くしかない。
    右に行っても左に行ってもまた扉があり、どっちの扉を選んでも、その先は南翼廊の薔薇窓下に出る。
    この左右にある扉は閉まっているので、自分で押し開けて聖堂の中に入るのだが、本当に大きくて重い扉だった。あまりに扉が大きいので、壁と見まごうのか、ときおり出口を探して扉のまん前でウロウロしている観光客などもいた。

    シャルトル大聖堂は、奥行きが130.20m。アーチになった天井高は37.50mあり、身廊の幅は16.40mもある。
    この内部を文章だけで説明するのは、難しい。
    ので。
    シャルトル大聖堂で売っている簡易なパンフレットを元に、見取り図を書いてみた。


    聖堂見取り図

    クリプトツアーのお土産屋さんからもっとも近い南翼廊ファサードから入った私は、まずは内部から西側ファサード(王の扉口)に向かった。


    見取り図1の、王の扉口前。

    ろうそくを捧げたい人は、真ん中のキャンドルがたくさん入っている台から好きなものを自分で選ぶ。ここに売り子はいないので、料金はその隣のテーブルに作りつけになっている払い口にコインを落とす。


    見取り図2のラビリンス。

    ラビリンス=迷路と思われそうだけれど、これは迷路にはなっていない。入り口から、迷うことなく中央に到達できる、一筆書きの迷路もどきだ。
    これが作られた理由は諸説あるけれど、1つには、この一筆書きの道をたどると、聖地エルサレムへの巡礼の代わりになるといわれている。また、シャルトル大聖堂のパンフレットでは「地上の世界から神へと導く道をシンボル化」と書かれている。
    私が内部のあちこちを見学しているあいだにも、そう混んではいない聖堂の内部で、代わる代わるこのラビリンスをたどる人は途切れなかった。


    8(クロッシング)のあたりから、王の扉口をふり返る。
    両側の壁がやけにツルツルピカピカなのは、保全修理中で白い工事用シートが張りこまれているため。


    王の扉口の薔薇窓。

    3連の細長い尖頭窓(ランセット)は、キリストの受難と復活の物語。
    (物語の内容も知りたいという方がもしいらっしゃれば、追記いたしますのでご連絡くださいまし)
    このステンドグラスの絵柄は【Bigsize Photo】で全部をはっきり見ることができます。
    どのぐらいはっきり見られるかというと…


    こんな感じ。
    これは3連窓の中央の上部。キリストの半生が描かれたもの。


    今もこんなに鮮やかな色を保つ12世紀のステンドグラス。


    見取り図1から3(側廊)方向に向かう。
    見取り図で黒丸で表しているのは、このぶっとい柱。


    さすが奥行き130m超の長~い廊下。




    北翼廊ファサードの薔薇窓。製作は1235年。


    ランセットは左から、ユダヤ王ソロモン ユダヤ王ダビテ マリアを抱くアンナ 司教アーロン 司教メルキゼテク。


    薔薇窓の直径 10.15m。
    外周の半円の中には12人の預言者たちが、内側の四角形の中にはユダヤの王12人が描かれている。
    内側の小円の中にいるのは、4羽の精霊の鳩と8人の天使たちで、薔薇窓の中心に描かれているのは、幼子キリストを抱く聖母マリア。


    見取り図8を挟んで合い向かう南翼廊ファサードの薔薇窓。
    8の主祭壇は1992年~1994年とかなり最近の制作。金銀細工師のグージ氏によるもの。


    ランセットは左から、マルコとダニエル ヨハネとエゼキテル 幼子キリストを抱くマリア ルカとエレミヤ …と誰だっけ。


    外周の半円の中は、黙示録の24人の長老たち。手に楽器とゴブレットを持って座っている。


    1225年頃制作され、中心には青年キリストが右手で祝福を与えながら座っているが、背景の赤い色は受難の血を連想させるものなのだとか。
    大きさは10.56m。
    南側の薔薇窓は赤系を主体に、北側の薔薇窓は青系を主体に作られているのだそう。


    さらに側廊を奥に進んで、見取り図4の「柱の聖母」。聖母子像は、1500年代の制作。
    洋梨の実を手にしていて、しかもこの聖母子自体が洋梨の木で彫られている。


    「黒い聖母子」とも呼ばれる、大変有名な作品。
    聖母像が黒いことにも諸説あるけれど、「黒は大地の色として、大地の肥沃と豊饒さを現し、ひいては多産の象徴である」というのが一般的なよう。

    「柱の聖母」を過ぎる辺りまで進むと、身廊右手には内陣壁が現われる。
    見取り図の青い色で示した部分で、聖堂の奥をぐるりと囲むように配置されている。


    壁といっても、壁全体にこのような立体的な彫刻がびっしりと施されていて、単純に「壁」とは呼べないもの。
    以下内陣壁の一部。


    内陣は16~18世紀に造られ、マリアとキリストの生涯を立体的に表している。
    左下の丸いものは時計。
    フランス最古のものだそうで、24時間で1周する仕組み。
    この時計のことを帰国してから知ったので、残念ながらきちんと撮った写真がない。


    …というわけで、お借りした画像を貼ってみる。
    (出展はこちら


    この画像には4つの場面が写っているけれど、1番右がよく知られている受胎告知で、その左隣はヨセフとマリアの結婚の場面。
    これらの彫像群や最古の時計は、この画像だと目の前で観られるように見えるが、内陣壁はすごく大きく高い。こうした彫像が並んでいるのは、人の身長の倍ぐらいの高さのところなので、その場で肉眼で観ると、それほどよく見えるものでもない。


    内陣に出入りするための扉の大きさと比べると、その大きさや高さが伝わるかと。


    受胎告知のニッチのアップ。
    下にふってある番号はニッチの順番で、ニッチ(Niche)とは直訳すれば隙間のことだけれど、この場合はざっくり言えば「場面」とか「コマ割り」みたいな意味合い。
    内陣壁には、こうしてマリアとキリストの生涯をコマ送りみたいに彫刻で表したニッチが40ある。(らしい。ウィキペディアには41と書いてあるし、本当はいくつか判らない。自分では数えてこなかった)


    さらに側廊を進むと、このような案内があり、内陣壁の内側へと入ることができる。


    内陣の最奥に安置されているのは、見取り図9 「聖母マリア被昇天像」。


    18世紀にシャルル=アントワーヌ・ブリダンが製作したもの。


    この世での生活を終えたマリアが、3人の天使に囲まれて、霊魂も肉体も天に召し上げられたことを表しているそう。


    内陣の祭壇。その先に8のクロッシングの祭壇があり、さらにその向こうに西の薔薇窓(王の扉口)が見える。
    この距離でだいたい100mぐらい。


    聖堂奥の天井を振り仰ぐと、こんな感じ。多角形にはめ込まれたステンドグラスが美しい。
    外観をまわったときの聖堂の見取り図の6で、「中央の縦長のステンドグラスのはまった多角形の部分は、内側から見ると大変な壮麗さ。」とご紹介したのが、このあたりのことになる。


    見取り図5の「聖母マリアのチャペル」。

    「聖母マリアのチャペル」は、876年にフランス王シャルル2世(禿頭王)から献納された“マリアのベール”と呼ばれる聖遺物を保管・展示している礼拝堂。
    うしろに見えるステンドグラスは、左から聖カラウヌス伝、聖ステパノ伝、聖パンタレオ伝で、右端の聖テオドルス伝・聖ウィンケンティウス伝は、隙間からチラ~っとしか写っていない。


    大切に納められたマリアのベール。


    せっかくなので、明るさをたす加工だけして、アップにしてみた。

    この聖遺物は、マリアが受胎告知の際に着ていた天衣の一部とされている。これを持ったことでシャルトル大聖堂は威厳が高まり、人々から篤く崇拝されるようになったとか。
    1194年の火災で聖堂の大部分が焼失したときには、マリアのベールは地下のクリプトで保管されていたために難を逃れた。このことも信徒たちの信仰心をより惹きつける結果となったそう。
    マリアのベールを見るために、年間約150万人もの人がここを訪れる。

    周歩廊をさらに進むと、5と同じぐらいの規模の小さな礼拝堂が2つ続く。




    この礼拝堂が妙な構図で写っているのは、この元画像に私が写りこんでいるからだ。元の写真は礼拝堂がきれいに写っているのだが、私がいる部分を切り落として、ちょっと無理な拡大をしたらこうなってしまった。






    周歩廊を右まわりに進んでからちょっとふり返ると、こんな感じ。
    小さな聖堂の入り口のアーチが連なって見える。
    右側は内陣壁の最奥にあたる部分。

    さて。
    シャルトル大聖堂と聞いて、ステンドグラスを思い浮かべる人は多いと思う。
    ことに、青。
    シャルトルブルーと呼ばれる青いステンドグラスの美しさは、どんなガイドブックでも触れられているし、旅行番組でも必ず紹介される。
    それが、こちら↓。見取り図でいうと6の位置にある。


    右から順に、聖アントニオと聖パウロの物語、美しきガラス窓の聖母、マリアの生涯の物語、ゾディアックと月々の仕事。


    右側の2つを中心に、少しだけアップにしてみる。
    シャルトルブルーで有名なのは、右から2番目のステンドグラス「美しきガラス窓の聖母」。

    ステンドグラスは観賞用の美しいガラス絵ではなく、その1つ1つが聖書の場面になっている。昔は字の読めない人も多かったから、目で見て聖書の内容が判るように、名場面を絵にした絵本のようなものだ。
    物語は下から上に進んでいく。
    「美しきガラス窓の聖母」をアップにしてみよう。
    (この画像は私のPCではきれに反映されているけれど、スマホやガラケー、iPadからの閲覧、またはお使いのPCの設定や環境によって、分断して反映される場合があります。)







    1段目→キリストの3つの試練。
    左=悪魔が石をパンに変えるよう、キリストに求める。
    中=悪魔がエルサレムの神殿の頂上から身を投げるよう、キリストに求める。
    右=悪魔の山頂への誘惑を拒否するキリスト。
    2段目→カナの婚礼。
    左=弟子と共に婚礼へ向かうキリスト。
    中=婚礼の食事。
    右=マリアがキリストに葡萄酒がないことを告げる。
    3段目→カナの婚礼。
    左=マリアが召使に、キリストの望みを叶えるように命令する。
    中=キリストが水を葡萄酒に変える。
    右=召使が祝宴の主人へ葡萄酒を持って行く。
    4段目中央=聖母の王座を支える天使たち。
    4段目・5段目左右=香炉を振る天使。
    6段目左右=ロウソクを持つ天使。
    7段目左右=香炉を振る天使。
    5段目~7段目中央=幼いキリストを抱く聖母マリア。
    最上段左右=天使。

    この幼いキリストを抱く聖母マリアの衣の青が、現代では再現が難しいといわれるシャルトルブルー。
    フランス最古のステンドグラスであり、12世紀の傑作といわれている。
    さらにしつこくマリアの部分だけをUPしてみよう。





    うーん、ちょっとピンボケ気味…
    そしてマリアは結構な男顔。


    4枚並んだステンドグラスの、残りの2枚。
    左側の「ゾディアックと月々の仕事」は、よ~く見ると、何やらおなじみの絵柄もある。





    (この画像も、環境等によっては上手く反映されない場合があります)

    半人半馬やら天秤やら魚やら、ヤギやら羊やら獅子やら…
    このステンドグラスはゾディアック=黄道12宮を描いているので、星占いのアイコンのようで親しみやすい。
    マリアもこれぐらい鮮明に写っていてくれたらなぁ。
    ちなみに右側の上から4番目、ひっくり返ったダンゴムシみたいなのは蟹座だ。ヨーロッパの図案化された蟹座は、こんなふうにはさみのない姿のものが結構ある。サソリと紛らわしかったり、ときにはほとんど「エビかよ!」という姿で描かれることもある。


    側廊をさらに進んでいくと、南翼廊ファサードの薔薇窓が見えてくる。


    午前中は薄曇りだったけれど、昼下がりから徐々に晴れていったので、この薔薇窓にさしかかる頃には射しこむ光がきらきらに。


    見取り図7のヴァンドーム礼拝堂付近。




    ヴァンドーム礼拝堂のステンドグラス。
    さて、下から順番に読んでみると…
    1段目=王家と王子の紋章。
    2段目=王子と彼らの守護聖人。
    3段目=左・洗礼者聖ヨハネ、中央・聖母マリアの戴冠、右・福音者聖ヨハネ。
    最上部=最後の審判とキリストの磔刑。

    ヴァンドーム礼拝堂のステンドグラスはやたらときれいに撮れたので、かなり拡大したものを貼ってみる。
    (この画像も、環境等によっては上手く反映されない場合があります)




    2段目の王子らと守護聖人。




    3段目の戴冠する聖母マリア。


    先ほどとは逆に、8の主祭壇付近から、9の「聖母マリア被昇天像」を眺めてみる。


    シャルトル大聖堂のラビリンスは、約1200年頃のもの。当初から一度も修復されておらず、13世紀当時のままを保っている。
    聖地エルサレムへの巡礼に思いを馳せながら辿れば、その長さは全長261.5mにもなるそう。
    【Bigsize Photo】に、石版に彫られたこのラビリンスをUPするので、見られる方はその道を辿ってみてくださいね。

    ぐるりと周ってみた聖堂内部。
    今回UPしていない部分もあるし、魅力的なアイテムをたくさん揃えているギフトショップもあって、見どころは他にもたくさん。
    (ギフトショップ内は写真の撮りやすい雰囲気ではなかったので、画像が残せませんでした)
    ショップなんて、「ここからここまで全部ください」って言いたくなるぐらい素敵なものばかりだし、聖堂内は時間がいくらあっても足りない感じ。聖堂に興味の深い人なら、丸1日かけてもあっという間に過ぎてしまうだろう。
    私もまだまだ観たい気持ちがあったけれど、いったん聖堂を出た。
    クリプトツアーの時間が近づいていたからだ。

    【前回の落とし前 / その2 特別な青-2】 につづく
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