フランス旅行回想録 【 Voyage 】

こちらは管理人のフランス旅行記です。
旅行前の準備のこもごもや、旅行中にフランスからUPしていた雑文、帰国してからの回想録などを置いています。

★2013/5 回想録
旅行準備から現地UP版までは、かつて【Hermitage】というおまけノベルを集めたブログにUPしていたものからの転載。
回想録からが、この「Voyage」でUPしはじめたものです。
(今はクレーム等により一部公開していません)

また、この旅行記には、追随するコンテンツとして【Webアルバム】がございます。
アルバムでは、管理人の訪れた各地の画像が2000px以上の大判サイズでご覧いただけます。
ベルサイユ宮殿や大小トリアノン宮などのお部屋が、壁紙の模様や扉のひび割れまで見える詳細さでUPされております。
スライドショーにすることも出来ますので、ご覧になれる方はどうぞ。
全部で1183枚の写真がご覧いただけます。

★2015/4 回想録
2015/6/12よりUPを始めました。
こちらもWebアルバムをUP中で、ただいまは3410枚の画像がご覧いただけます。
最終的には、およそ5500枚程度のアルバムになる予定です。

 

    引き続き天気のよい早朝。
    私はパッキングしたスーツケースの中身を点検していた。パリに着いてから数日過ごしたアパルトマンを、チェックアウトするからだ。
    クローゼットの前の床には、ハードタイプの大きなスーツケースと機内サイズのソフトキャリーが並んでいる。
    このソフトキャリーは、日本を発つときにはスーツケースの中に入れて持ってきたもの。
    これから私は、3泊4日の予定でパリを離れる。その小旅行中、でかいスーツケースをガラガラ押して歩くのは気が重い。そのため、小旅行中の着替えとお土産が入るぐらいの移動用バッグとして、たためば薄っぺらくなる布製のキャリーバッグを仕込んできていた。
    パリに置いていくものはスーツケースへ。
    着替えや旅行用品、充電器などの必携品はソフトキャリーへ。
    うっかり入れ間違えないように、何度も確認して。
    …よし。
    チェックアウトの仕度を済ませると、私はいったんアパルトマンを出た。サンジェルマン・デ・プレ界隈のカフェで、お茶をする予定があったからだ。


    目的のカフェ。

    お茶のお相手は、パリで知り合った日本人女性のれーこさん。フランスとイギリスを1人旅中の方で、私より2日遅くパリ入りしていた。
    たまたま意気投合する機会があり、私がパリに戻る頃にはれーこさんがパリから動いてしまうため、この日が最後のチャンスでのお茶会となった。
    お店は私の希望で「Le Procope」。
    最寄り駅のオデオン近くの交差点で待ち合わせをしていた。


    Le Procope。

    ル プロコープは、1686年に作られた。ルイ14世代創業のパリ最古のカフェで、パリで初めての公衆カフェ。
    おしゃれをした紳士がコーヒーを嗜む店としてオープンし、シャーベットが楽しめる店としても人気だった。
    開店当初は、“値段はお安いのにおしゃれな雰囲気”といった感じの店だったが、やがて議論を交わす人たちの集まる場所となり、フランス革命期には、ルソー、ロベスピエール、ダントン、ジャン=ポール・マラーなど、そうそうたる面々がこのカフェの常連だったという。
    革命前夜に革命家たちが集い、決起したのもこのお店。
    7月革命でフリジア帽が自由の象徴となり、最初に飾られたのもル プロコープだった。
    他にも、ベンジャミン・フランクリンがここでアメリカ独立宣言の草案を書いたり、男装の女流作家 ジョルジュ・サンドやル・モンドの編集者コキーユも通った店として、文学史上でも知られる。
    ここも前回の旅行で、来るつもりだったところ。でも、時間も、そして精神的な余裕もなくて、まわりきれなかったお店だった。
    そのため今回は絶対に来ようと思っていて、「今回はこれをする」と決めていた場所のひとつだ。


    店内に1歩入った小さな空間。

    ここで写真だけ撮っていく人がたくさんいる。


    古い家具や調度品を残して、趣のある演出。


    店で1番人気のフォトポイント。

    この額装して飾られた帽子は、なんとナポレオン・ボナパルト自身のもの。お金のなかった若き日のボナパルトが、支払いの代わりに置いていったそう。
    これを観たくて、世界中のボナパルトファンがこの店を訪れる。


    革命時の店の外観と、ここに集った革命家・思想家たち。

    【Bigsize Photo】では、この肖像1人1人と名前までもがはっきりと見られますよ~


    店内、入って右のカフェ用のフロア。

    丸い額の上あたり、赤い壁に白抜きの文字が並んでいるのが判ると思う。これはこの店の常連だった革命家や思想家たちの言葉で、店中のあちこちにこうした文章が書かれている。





    れーこさんのオーダーはUn café crème(カフェ クレーム =カフェオレ)で、私が選んだのはMenthe à l'eau(マンタ・ロウ)。ミント水をガムシロップで割って飲む、パリでは夏場によく飲まれるもの。
    ミント(menthe)のフランス語読みが「マント」で、水(eau)が「オー」なので、「マント・ア・オー、マント・アオ… 中略…マンタ・ロウ」になったようだ。
    その他に、この店はオニオングラタンスープが評判なので、それをれーこさんがオーダーした。
    んでも、運ばれてきたスープがとても美味しそうだったので、私も追加で頼んでしまった。


    この日のゆずと、でかいオニオングラタンスープ。

    このお店は内装も凝っていて、古いものをたくさん残してあり、小さな博物館のよう。
    トイレが2階にあるので、行きがてら店内の写真を少し撮ってきた。






    ヴォルテールの机。


    3階へ続く階段。

    この店は造りが複雑で、見た目の間口よりもずっと広い。階段や廊下がうねうねと走っていて、そのフロアごとに内装も違う。
    壁のあちこちには古い書類のようなものや手紙が展示されていて、その中にはマリー・アントワネットの手紙もあるそうだ。
    (王妃さまの手紙は2階席のどこかにあるらしい。私はカフェ利用の1階席にいたから見ていない)
    ベンジャミン・フランクリンがアメリカ独立宣言の草案を書いていた席には、その名が書かれた飾り額がある。




    明るくて清潔なトイレ。



    互いのこれまでの旅の話やら、今後の旅程、1人旅経験豊富なれーこさんの“1人旅あるある”などを聞いていたら、時間はあっという間に過ぎてしまった。
    時計を見ると、午後1時。
    もうあまりのんびりはしていられない、ちょっとギリギリな時間になっていた。
    店を出て、れーこさんと一緒にサンジェルマン通りまで歩く。
    「日本でまた会いましょう!」
    人通りの多く激しいオデオンの交差点で握手して、手を振りながら別れた。
    これからオルリー空港へ向かう私と、市場へ骨董を見に行くれーこさんと、向かう方向は真逆だった。
    パリの空の下で「またね」と言って、その「またね」の先が日本であることがなんだか奇妙で、そして嬉しくて、私は密やかに笑いながらメトロへと降り、急ぎ、アパルトマンへと戻った。

    ちなみにれーこさんとは、帰国してから本当に再会した。
    私がいつもフランスのアンティーク品を買っているショップが東京の骨董市に出店したので、それを一緒に観に行ったのだ。
    大概が口約束で終わってしまう「また」が実現したことを、とても嬉しく思った。
    私はこの旅行の半年後にロンドンへ行っているのだが、その時も旅の相談に乗っていただいて、今もご縁が続いていることが本当に嬉しい。
    またどこか、異国の空の下でお会いしたいと思う。

    バタバタとアパルトマンに戻った私は、管理人に言われていた通りにチェックアウトをした。その手順は簡単で、部屋の中の所定の場所に鍵を置き、玄関ドアを閉めるだけ。オートロックで内側から鍵がかかって、チェックアウトはそれで終了になる。管理人が立ち会うこともない。
    私は今まで4つのアパルトマンに泊まったことがあるけれど、チェックアウトはどこもこの手順だった。

    大きなスーツケースをパリでの戻り先に預け、私は軽いソフトキャリーだけを引いて、メトロでダンフェール・ロシュローに向かった。
    ここはカタコンブに行ったときに使った駅なので、勝手はおおよそ判っていて、オルリーバス乗り場はそのときにチェックしていた。


    ダンフェール・ロシュロー駅近く、オルリーバス乗り場。

    この日私は、パリからルルドへ移動する。
    ルルド(Lourdes) は、フランスとスペインの国境近く、ミディ・ピレネーと呼ばれる地域圏にある人口15000人ほどの小さな街だ。
    パリからのアクセスは鉄道が主流。高速列車のTGVや在来線のTERなどを使って、おおむね6時間~7時間。800Km以上の移動となる。
    私もはじめはTGVを使うつもりでいたが、これだけの移動距離をじっと座って過ごすのは辛い。もし隣や向かいの席の人たちが騒がしいグループだったり、気難しい人だったら7時間は長すぎる。
    いろいろ考えた末、国内線で飛んでしまうことにした。
    飛行機での行き方もいくつかあって、シャルル・ド・ゴールからも、オルリー空港からも飛んでいる。
    到着地は、ポー空港かタルブ ルルド ピレネー空港。
    ポーはルルドの隣町で、ポー空港着だとルルドへは、在来線かタクシーで向かうことになる。移動時間は車なら約50分。
    一方タルブ ルルド ピレネー空港はルルドにあるので、ルルド中心部まで車で15分程度。
    私は、オルリーからタルブ ルルド ピレネー空港へ行くルートを選んだ。
    チケットは、エールフランスのグループ会社「HOP!」のHPからWeb予約した。
    【HOP!】
    私が予約した時には、選択する日にちや時間帯でずいぶん料金が違ったので、もしHOP!でルルドに行こうと思い立ったなら、早めの予約と時間帯の工夫がお勧め。
    鉄道と飛行機、運賃を比較検討したい方はこちら↓を。
    【レイルヨーロッパ Rail Europe】
    【フランス国鉄 SNCF】
    レイルヨーロッパは日本語で予約が出来る。でもそのぶん、料金は割高。
    SNCFはフランス語か英語での操作になるけれど、レイルヨーロッパより安く買える。SNCFのHP内から、レイルヨーロッパへのジャンプもリンクされている。


    オルリーバス。7.5ユーロ。

    オルリーバスは、パリ14区のダンフェール・ロシュロー広場とオルリー空港を結ぶリムジンバス。直行便で約30分。
    オルリーへはメトロやRER-C線を使っても簡単に行けるけれど、途中乗換えがあったりして面倒なので、乗れば着いちゃうリムジンバスにしておいた。
    バスチケットは乗り場の自動販売機でも買えるし、運転手からも直接買える…ということだったのだが。

    「自動販売機で買ってきて」
    「え?」
    バスのフロントにいるドライバーに声をかけ、チケットを買おうとしたら普通に断られた。
    マジか。
    バスには複数の乗り口があって、乗客は次々乗り込んでいる。
    そして自販機の方を振り返ると、多少の人が並んでいた。
    ドライバーと私のやりとりを見て自販機に向かう人もいて、私も慌てて券売機の並んだコーナーに向かった。
    発車時間に間に合うんだろうか。いや、それより先に満席になっちゃいそうだ。
    自販機に並ぶ人は私の前に4~5人ほどで、隣の列も似たようなもの。でも、なかなか進まない。やはりフランス国外からの旅行者が多くて、自動販売機の操作に手間取っているようだった。
    実のところ、私も自販機を使うことに不安があったので、ドライバーから直接買うつもりでいた。
    メトロの券売機は旅行ガイドにも操作手順が載っているし、個人の旅行記系ブログでもよく紹介されている。でもリムジンバスの券売機の手順はあまり見かけなかったうえ、RATPの公式HPのオルリーバスのページにもドライバーから買えるとあったので、すっかりその気になっていた。
    RATPは空港地域を含むパリの公共交通網のことで、公式サイトは【こちら】

    少しずつ列が進み、券売機の画面が見える距離になると、私は操作している人の手の動きばかりを見ていた。少しでも参考に…と思ったのだが、画面は日光の反射でよく見えず、そもそも文字が読み取れるほどには近くない。
    私が注視していたおにいさんもよく判らないのか、何度も操作をやり直しているようで時間がかかっている。
    ううむ…
    ややあって、ようやくおにいさんが乗車券を手に列を離れた。
    「あの、」
    私は横を通って行こうとしたおにいさんを呼び止め、英語で聞いてみた。
    「あの操作、難しいですか?」
    「いや、そんなことないよ」
    見た目の印象なら“イタリア風な顔立ちのイケメン”といったおにいさんは、自分が手間取っていたにもかかわらず、ニコニコと答えた。
    「手伝ってあげようか?」
    「え!本当に?いいんですか?忙しいでしょう?」
    行き過ぎかけていたおにいさんは、ニコニコな笑顔のまま私の隣に並んだ。
    「問題ないよ」
    見れば私のすぐ前のおじいさんも操作に手間取っている。私は助かったなぁとありがたく思い、イケメンのおにいさんにお礼を言ったりしながら順番を待っていた。
    そしてようやく自分の順番が来ると、皆が操作に手間取っていた理由はすぐに判った。
    タッチパネル式の液晶画面なのだが、色調が異常に薄いのだ。加えて直射日光ががっつり射しこんでいるのもあって、反射で画面が飛んでいる状態。隣の券売機を使っている人も、手で影を作ったり、覗き込むようにして画面を見る角度を変えたり、工夫している。
    そういうことだったのか。
    納得した私は、まず言語選択のボタンを探そうと、少し身をかがめた。
    でもおにいさんが横からすいっと指を伸ばして、サクサクと購入画面を進めていった。
    「1枚でいいんだよね?」
    おにいさんはあっという間に購入の最終画面まで進んでくれて、私はほとんど何もすることなく乗車券を買うことができた。
    「ありがとうございます」
    「いや、全然」
    そんなことを話しながら列から離れ、バスの方に向かうと、おにいさんと私の前に綺麗なおねえさんが歩いてきた。おねえさんは抱っこひもで赤ちゃんを前抱きにしている。
    おねえさんがおにいさんに話しかけ、それは何語かは判らなかったけれど、察するに恐らく
    「遅かったから心配しちゃった」
    「乗車券を買う人を手伝ってあげてたんだよ」
    といったやり取りだったと推測される。
    私は“うあぁ、赤ちゃんいたのかぁぁ”と申し訳なく思い、奥さまらしきおねえさんに謝った。
    「ごめんなさい。チケットの買い方が判らなくて、手伝ってもらって… 赤ちゃんがいたんですね」
    私が焦りまくったぐちゃぐちゃな英語で言うと、おねえさんは、おにいさんと同じぐらいのニコニコの笑顔で「いいのよ」と言ってくれた。
    なんて素敵なカップルだろう。
    おにいさんは奥さまをエスコートしてバスに向かい、私はあまり2人のそばにいては申し訳ない気がして、同じバスの別の乗り口に向かった。



    オルリーバスは(ってロワシーバスもだけれど) 結構大きな車両が2連結になっている。
    ご夫婦が連結部より後ろの乗り口に向かったので、私はあえて前部分から乗った。でも車内はすでに混みあっていて、ちょっと見、空いている席は見つからない。
    私はきょろきょろしながら車内を進み、すると連結部分のすぐ横の、狭くて変形した席が空いているのが目に入った。


    連結部分は荷物置き場にもなっている。

    私は座れればどこでもよかったので、とりあえずその席にバッグを置き、引いてきたソフトキャリーを目の前の荷物置き場に積んでしまうことにした。
    まだあまり荷物の入っていないソフトキャリー。それはたいして重くなかったけれど、棚の位置が結構高いのと他の荷物がすでに並んでいたため、なかなかうまく積み上がらない。
    走行中に崩れてきても困るしなぁ。
    そんなふうに思いながら、なるべく奥にきっちり並べようとしていたら、私の手から荷物を取り、積み上げてくれた人がいた。
    先ほどのイケメンのおにいさんだった。
    顔を向けてみれば、奥さまは後部の車両の通路側に座っていて、私と目が合うとやっぱりニコニコ笑ってくれた。
    ほんとに素敵なご夫婦だなー…
    おにいさんはイケメンだし、奥さまも美人でスタイルも良くて、育児雑誌の広告ページのカップルみたいだった。
    やがて動き出したバスの中、私の位置からはおにいさんのつま先だけが見えている。
    1人ぶんの空席ならバスの奥にひとつふたつあるのは、荷物を積むときに見かけていた。でもおにいさんはそこに座ることもせず、奥さまの座る席の横、通路に立って付き添っているようだった。
    ますます素敵!
    私はこの旅行のために作ってきたお礼アイテムをバッグからいくつか取り出して、どれが奥さまに似合うかと思案したり、和風柄のメモパッドにお礼のメッセージを書いたりしながら、車内での時間を過ごした。


    オルリー空港。

    パリ・オルリー空港(Aéroport de Paris-Orly)は、シャルル・ド・ゴールが出来るまで、パリ唯一の国際空港だったところ。
    今は主に国内線が飛んでいるけれど、一部からは国際線も飛んでいる。
    西ターミナルの「Orly Ouest」と南ターミナルの「Orly Sud」の2つのターミナルがあり、事前に調べたところによると、それほど大きな空港ではないはずなのだが。


    Orly Ouest。

    そろそろOrly Ouestに着くというアナウンスが入り、バスの中がざわざわし始める。
    私も手元に出していたメモパッドやiPadをしまい、降りる仕度を始めた。すると。
    「君!」
    私の座った席の横に、イケメンのおにいさんが立っていた。
    「もうすぐバスがオルリーに着くんだ」
    「はい」
    「オルリーには2つターミナルがあるんだけど、知ってる?君は自分が降りるのがどっちのターミナルか判っている?」
    おにいさんはわざわざ、私が降りるターミナルが判らないんじゃないかと気遣って、席まで来てくれたのだった。
    「私はこれから国内線に乗るので、Ouestでいいと思う」
    「そう、じゃあもうすぐ着くよ。Ouestから停まるからね」
    おにいさんはそう言うと、私の荷物を棚から下ろして、奥さまのところに戻っていった。
    私はそのすぐ後を追いかけて、レジンで作ったストラップと日本のお菓子を渡しにいった。
    前回のフランス旅行でも、お礼に渡すための日本らしいお菓子を持ってきていたが、今回そのために持参したのは吉備団子だった。
    おにいさんを追いかけ、背後からぬぅっと顔を出した私に、奥さまは驚いたようだった。
    「ご親切をありがとうございます。これ、私が作ったもので、それから日本のお菓子です」
    ストラップに書かれた文字の意味を説明して、同じ説明とお礼を書いたメモパッドを見せる。そしてそれらを和柄のペーパーバッグに入れて渡すと、ご夫婦は笑って受け取ってくれた。


    Orly Ouest入り口。

    初めての駅や空港は迷う。
    それを見越して、ここには余裕を持って来るつもりだった。それがつい、れーこさんとのお茶会が楽しすぎて、結構ギリギリな動き方をしてしまっていた。
    それほど広くはないと聞いていたオルリーだけど、着いてみたらやっぱり広い。Orly Ouestのターミナルビルに入った瞬間に感じたのは、「やべぇな」ということだった。
    どっちへ行ったらいいのか判らん…


    パリ市内やたらとあるラデュレがここにも。


    と思ったらこっちにも。

    家でプリントしてきた搭乗チケットを手に、フロアをウロウロする。
    誰かに聞こうにも、閉まっているカウンターにスタッフはいないし、インフォメーションも見当たらない。


    ひと気のないHOP!のカウンター。

    モニターを見ると、私が乗るHOP!715便は予定通り16:10pmのフライトで、2番ゲートらしいのだが…


    2番ゲートってドコなん…?

    フロアをあちこちウロウロした結果、ルルドへ向かうHOP!のカウンターはOrly Ouestの入り口をまっすぐ進んだこのメインフロアではなく、折り返すように逆方向へ向かう別のフロアであることが判った。
    こういうことは事前に公式HPParis Aeroportで調べておけば良かったのだろうけれど、私がこの旅行の下準備をしていた頃、オルリー空港のページはサイトメンテ中でページが開かなかったのだ。
    (今見てみても、オルリーのフロアマップは見つからないのだけど)

    このあと私は手荷物検査などを受け、ごく一般的な手順で搭乗ゲートへと向かった。
    あまり使うことのない国内線のフロアなので写真をたくさん撮りたかったのだが、このあたりを撮った写真は1枚もない。写真が撮りづらい空気だったからだ。
    その理由はとても判りやすい。
    パリ11区で起きたシャルリー・エブド事件のためだ。
    2015年1月7日、風刺週刊誌を発行しているシャルリー・エブド本社を、武装した複数犯が襲撃し、12人を殺害した事件。
    この事件を受けて、パリはテロリスト対策で警備が強化されており、空港は特に警備が厳重になっている…はずなのだが、正直なところ、入国時のシャルル・ド・ゴールの警備は甘々だった。国際的な信用度の高い日本のパスポートを持っているせいなのだろうけど、入国審査など数秒で終わったぐらい。
    だから国内線の飛ぶOrly Ouestの手荷物検査などぬるいものだと思っていたのだが、予想は大きく外れ、ソフトキャリーはX線検査をした上で、さらに中身を全部出された。
    私の担当だったのは、フランス人のイメージそのままな顔立ちの若いおにいさんで、なかなかの美青年。
    ソフトキャリーのジップ部分をシャーッと開けるなりゴロゴロ出てきた空のペットボトルに驚いたみたいだった。
    「オゥ?」
    「ルルドへ行くので」
    「ああ、判りました」
    往路ということで、まだたいして荷物が入っていなかったため、取り出されたのは充電ケーブルなどの電気関係のものと、からっぽの500mlペットボトルが10本ほど。それから服と下着ぐらい。
    おにいさんは私の下着をわしわしつかんで、怪しいものが入っていないか調べていた。
    けれど怪しいものなどあるわけもなく、ソフトキャリーの3つの外ポケットにびっちり入ったたくさんのMEIJIのハイミルクチョコレートCUBIEを見てウケでいた。
    小声のフランス語だったのでよく判らなかったけれど、「フランスにもチョコぐらいあるのに~」と言っているようだった。
    しょうがないじゃない。私はCUBIEの赤が主食なんだから。


    搭乗が始まり、窓際で慌しく撮った1枚。


    今回乗ったHOP!715便。

    この搭乗は、“ボーディングブリッジから機内へ”ではなく、ブリッジ→駐機場→ステップをあがって機内へ、という手順だった。
    こういった搭乗はずいぶん昔に乗ったカンタス以来。しかもこのサイズの飛行機に乗るのは初めてだったので、物珍しさでついあちこちを見回してしまった。


    穀倉地帯フランスのパッチワークのような畑が広がる。

    約1時間15分のフライト。
    715便の機体は見た目通りに狭かった。100人乗れるかどうかの小ささで、この日は満席。


    機内サービスのソフトドリンクとメール・プラールのガレット。

    コーラを飲んで、ちょっと落ち着いたらもう着陸体勢でベルトサイン。
    1時間15分のフライトはそんなもので、HOP!の小さな機体は危なげなく滑走路に滑りこんだ。


    降機も駐機場。

    まるでバスを降りるみたいに、気軽に降りていく乗客たち。私もその流れに混ざって、数段のステップを下りた。


    降りる人と比べると、機体の小ささがよく判るかと。



    だだっ広い駐機場は閑散としていて、駐機している飛行機の姿はそれほどない。
    風はスペインとの国境、ピレネー山脈からの吹きおろしで、パリとははっきりと空気のキレが違った。


    タルブ ルルド ピレネー空港。

    人が向かう方へなんとなくついて行き、空港内のロビーも通り過ぎる。
    小さな空港の国内線なので、空港スタッフも715便からの乗客をまるで気にしない。機内預けの荷物がある人は、乗り降りのときに飛行機の荷室前で直接やり取りしていたので、ターンテーブルにピックアップに行く人もいない。
    人の流れに適当について行っていた私は、気がつくと空港の中を突っ切って、エントランスまで来てしまっていた。
    周りにいた人たちは迎えでも来ているのか、車だったり小型バスだったりに乗って、どんどん減っていく。
    私は空港まで迎えがあるというホテルを予約していたのだが、送迎のリクエストの返答がなかなか来なくて、結局日本を出るまで返事のメールが届かないままだった。
    「ごめんなさい。送迎時間の約束を守らない人が多くて、送迎するのはやめたんです」
    そんな返事が来たのは、パリに着いたあとだった。
    おいおい、だったらHPの記述を修正しておけよ。
    そう思ったのも後の祭りで、ルルドには繁忙期でなければ空港から街までの公共のバスはない。
    (今はあるかもしれないけれど、私が行ったときにはなかった)
    ざっと見た感じ、タクシーもいない。
    “空港にタクシーがいなくて困った”
    “電話してタクシーを呼んだ”
    旅行サイトでそういった感想は読んでいたので、やっぱりか、と思った。
    うーん… どうするかなー。
    とりあえず私は空港のインフォメーションで相談しようと、中へ戻りかけた。
    すると知らないおっちゃんが…って、知らなくて当然だけれど、「タクシー?」と声をかけてきた。
    「タクシーなら向こうだよ」
    指差す方には8人乗りぐらいの普通のワゴンがいる。
    怪しいなー。
    そう思ったけれど、一応そちらに行ってみた。
    ワゴンのそばにはドライバーらしい男性がいて、近づく私にすぐ気づいた。
    「タクシー?どうぞ」
    大丈夫なのかなー。
    若干の不安を感じた私は、とりあえずルルドの街中までいくらかかるか聞いてみた。
    「18ユーロですよ」
    ふーむ、18。
    予定していたホテルの送迎では、送迎料として15ユーロとあったので、18ユーロならそれほど悪い料金でもない気がする。
    ドライバーは50代半ばといったところか、にこやかで気さくな雰囲気だった。
    ま、いいか。ぼったくりだったとしても、18ユーロ以上払わなければいいだけだし。
    万一トラブルに巻き込まれても、被るのは自分だけなのが1人旅の気楽なところで、私はそのタクシーに乗ることに決めた。
    ドライバーは私が左足に付けた装具にもすぐに気がつき、ワゴンに乗るために小さなステップを車内から出してくれた。
    「ホテルはどちら?」
    「ここなんですけど」
    家でプリントしてきたバウチャーを見せると、ドライバーはそれを見て頷き、判った、とメーターを倒して走り出した。


    市街地へ向かう車窓。

    遠く見えるピレネーの山なみには、まだ雪が残る。
    あの向こうはスペインなんだよな…
    そんなことを考えながら、ドライバーと世間話などしていたのだが。
    「ルルドを出発するのはいつ?」
    ドライバーが不意に聞いてきた。
    「24日」
    「飛行機で?」
    「そう、オルリーへ」
    「じゃあ、ホテルに迎えに行きましょうか?」
    ドライバーは商売上手で、パリへ戻る日の空港までの予約を持ちかけてきたのだった。
    私はそのときは返事を保留した。
    今日のホテルまでの料金がきちんとしているか。それを確認してからにしようと思ったからだ。


    無事に着いたホテル。

    結果から言うとこのタクシーは当たりで、ドライバーは親切で営業熱心なおじさんだった。
    料金も問題なかったので、チップこみで20ユーロを払った。
    私はルルドで1度宿泊先を変える。泊まりたいホテルを1か所に決めかねたからだ。そのため迎えに来てもらうホテルがここではないことをドライバーに説明し、移動先になるホテルのバウチャーを見せた。
    「ああ、判った。ここに迎えに行けばいいんだね。フライトの時間は?」
    ドライバーがフライト時間から逆算してルルドを発つ時間を提案してきたので、私はその時間で予約をし、車を降りた。
    ドライバーは降りるときにもステップを出して、そして荷物もホテルの前まで運んでくれた。


    タクシードライバーにもらった名刺。

    旅行系ブログや旅サイトを見ると、ルルド空港にはやはり今もあまりタクシーは待機していないらしい。
    待っても来なかったとか、全然来ないから空港のインフォメーションで電話して呼んでもらったとか、そんな記事が多い。もしくは、事前に予約してから行くようにと。
    ふらっと行って、ちょうどタクシーがつかまった私はラッキーだったようだ。
    もしルルドへ行ってみようと思われた方で、タルブ ルルド ピレネー空港をご利用の場合は、繁忙期以外はタクシーの予約をお勧めする。

    さて。
    ルルドに着いたこの日、宿泊するのは「La Residence Au Berceau de Bernadette」。
    HP
    Tripadvisor / Au_Berceau_De_Bernadette-Lourdes
    ホテル予約サイトで見て興味を惹かれ、1泊だけここをとった。
    ホテル…というか、カテゴリーとしてはレジデンスやB&Bになる。
    レジデンスといっても、泊まってみた感じでいうとプチホテルと変わらない。建物への出入りはデジコードで自由だし、家主のエリザベスと顔を合わせることも、それほどなかった。
    このレジデンスは、ルルドのメイン通りから1本外れたところにある。
    ルルドは街自体が山あいの勾配にあるので、レジデンスの入り口もまた、急な坂道の途中にあった。
    とりあえず、扉の横にあるインターホンを押してみる。



    しばらく待つと、ジリジリと昔の黒電話のベル音のような音を立てて、扉が開いた。
    「待たせてごめんなさい」
    そういって私を迎えてくれたのが、家主のエリザベスだった。


    明るくて社交的なマダム エリザベス。

    「まずは受け付けとお話をしましょう」
    そう言ってエリザベスは、私を小さな部屋に通した。



    「ここは朝食用のお部屋よ」
    エリザベスは私に宿泊のための書類やらレシートやらを渡しながら、説明をした。


    シリアルのスタンドとTASSIMOのコーヒーマシン。

    「これらは自由に使ってね。使い方は…」
    エリザベスはコーヒーマシンの使い方も丁寧に教えてくれた。
    カートリッジはコーヒー各種だけでなく、紅茶やショコラなど他のホットドリンクもあり、好きなときに勝手に使えたのはとても便利だった。
    「それから」



    「冷蔵庫の中のミルクやジュース、ヨーグルトもご自由に。バターもね」
    エリザベスは説明しながらミネラルウォーターを1本出し、私に手渡してくれた。
    「では、お部屋へ行きましょう」
    私は“おお、いよいよか”と思い、エリザベスのあとについて朝食ルームを出た。



    「ああ、その前に」
    朝食ルームを出てすぐの、このスペースでエリザベスは足を止める。
    「私はこの建物の5階に住んでいるから、用があったらこの電話で呼んでね。番号はここに書いてあります。リクエストはこのノートに書いてもいいわ」
    「判りました。ありがとう」
    「では、お部屋へ行きましょう。“リタ”という名前のお部屋よ」



    「小さな部屋なのだけど」





    そこはHPで見た通りの可愛らしい部屋で、もう、まんまイメージ通りだった。



    「そこがクローゼットと、シャワールーム。とても小さいのだけれど」
    「いいえ、じゅうぶんです。とても可愛いお部屋!」
    「そう?嬉しいわ」



    「お茶もご自由にね」
    エリザベスは一通り部屋の案内をすると、私を連れていったん廊下に出た。
    そして部屋の鍵を渡して、鍵のかけ方と開け方の説明をした。
    これはとても重要で、アパルトマンの鍵もそうなのだけれど、ドアの鍵にはたいがい癖がある。事前に説明を聞いて、何度か練習しないと開けられないことが多い。
    私もこのリタの扉がうまく開かず、たった1泊だけの滞在なのに、何度も部屋の開け閉めで手間取った。
    私がとりあえず鍵の要領を理解したところで、次にエリザベスはレジデンスの扉へ行き、デジコードと扉の開け方の説明もした。
    扉は開くと黒電話のベルのような、ちょっとけたたましい音がする。防犯のためにそうなっているのかもしれないが、結構大きな音なので、鳴るたびにびっくりした。
    「これで案内は終わりです。ご質問は?」
    「今はないです」
    「そう。では私は5階にいるから、用があったら“エリザベス~!、エリザベス~!!”と呼んでくれればすぐに来るわよ」
    エリザベスはニッコニッコ笑いながらそう言って、階段を上がっていった。
    ちなみにここまでの会話は英語だった。

    さて、と。
    レジデンスの玄関の扉の前、陽気に話すエリザベスがいなくなると、あたりは急にシンと静かな空間になった。
    扉を背に、左には上階へ向かう階段、右手には客室への廊下、正面には朝食ルームの入り口と、もう1つ出入りが自由な部屋の入り口が並んでいる。
    「せっかくだからお茶でも飲むか」
    コーヒーマシンの使い方も教えてもらったことだし、さっそくやってみることにした。



    私はショコラなどを淹れ、それを持って部屋に戻ったが、片手にカップを持って癖の強い鍵を開けるのは、やっぱりちょっと手間取った。



    カップを片手に、小さな部屋の中をさらに見てまわる。
    「ご自由に」と言われたお茶のケースを開けてみたり、バルコニーに出てみたり。





    バルコニーからは、ルルドのメイン通りが眺められる。
    私の部屋はレジデンスの入り口と同じフロアにあって、自分の感覚だと1階にいるような気がするのだが、傾斜地に立つレジデンス全体としてみると、この部屋は3階にあたる。


    坂道のメイン通り、のぼり方向。


    くだり方向。

    この道をどんどんくだっていくと、街の中心部、“聖域”とか“サンクチュアリ”などと呼ばれるエリアに出る。
    事前に調べたところによれば、そこはこのレジデンスから徒歩10分ぐらいなはずで、さらにそこから徒歩数分のところに、今回のフランス旅行の目的のひとつの「奇跡の泉」がある。


    バルコニー側から見た室内。


    小さいけれどライティングスペースもある。

    私はここでショコラを飲みながらメールやコメントのチェックをして、それからレジデンスの中を探検しに行った。


    上の階(4F)への階段をのぼってみる。




    小さな4Fホール。





    今回このレジデンスに泊まってみようと思った理由は、ここ↓。


    3Fの朝食ルーム隣にある礼拝室。

    このレジデンスに惹かれたきっかけは、館内の礼拝室だった。
    ホテル検索サイトとクチコミサイトでルルドでの滞在先を選んでいたときに、この小さく可愛らしい礼拝堂が目に入った。
    ルルドにいる3日間は、なるべく祈るために時間を使いたいと思っていたので、私はひとめでこのレジデンスに釣られた。
    より詳しく見てみると、トリップアドバイザーでのユーザーの満足度ポイントも高く、客室や館内の装飾なども私の好みにツボる。一気にこのレジデンスに気持ちが傾いて、できれば3泊4日をここで過ごしたいぐらいだった。
    このレジデンスは全4部屋。内3部屋が私が泊まったような部屋で、残る1つがキッチン付きのスイートになっている。
    当初、私はこのスイートを取るつもりでいた。理由は単純で、食事に制限のある私には外食がしづらいため、キッチンがあった方が便利だから。
    けれども私の滞在中にスイートの空きはなく、仕方がないのでダブルのお部屋を1泊だけとって、あと2泊の滞在は、より大聖堂に近いアパートメントホテルにしたのだった。


    朝夕2回、礼拝の時間がある。





    5-70

    私はしばらく礼拝室と館内を見てまわり、それから街へと出た。


    街のメインストリートのグロット通り。


    まず目に入るアイスクリーム屋さん。


    フロマージュとフランボワーズのダブル♪

    …ということで、ルルドで最初に食べたのは、Angelo Gelateria Artigianaleのイタリアンジェラートだった。
    Angeloは、トリップアドバイザーの“ルルドのグルメ / レストラン”で上位に入っている人気のアイスクリームショップ。
    ここがレストランのカテゴリーに入っているのは妙な気もするけれど、ルルドにはアイスだけを扱っているお店がここしかないから、そうするしかないのかとも思う。
    人気があるというクチコミはその通りのようで、いつもお客さんが並んでいた。
    ルルドではシスターや看護師、少し昔風なデザインのナース服風の制服を着た介護士さんたちが、アイスをペロペロなめながら歩く姿もよく見られた。


    Angelo外観。

    Angeloがあるのは、私が泊まっているレジデンスの1F(笑)
    店舗の上の上が私の部屋という、私にとっては好立地。3泊4日の間に5~6回は行ったと思う。
    とても美味しいアイス屋さんで、お勧めです。
    Angelo Gelateria Artigianale facebook


    ルルド中心部の略地図。

    1がレジデンスのあるところ。
    レジデンスの入り口はリベール通りにあるが、そこから建物に入ったフロアはグロット通りから見ると3Fにあたる。
    1~3にかけての地形には結構な勾配があり、道も複雑に入り組んでいて、車が入れなそうな小路も多かった。
    薄いストライプで着色した部分がサンクチュアリと呼ばれるエリア。


    2 グロット通り沿いにあるお土産屋さん。




    グロット通り沿いにはたくさんのお土産屋さんが軒を連ねているが、私が着いたのが夕方過ぎだったために、もう閉店しているところも多かった。




    浅草橋のビーズ問屋の店先にも見える(笑)

    サンクチュアリが近づくと、開いているお土産屋さんも増えてくる。店先をぶらぶらとのぞいて歩きながら坂道を下りきると、橋が見えてきた。
    街を横切って流れるガヴ・ド・ポー川に架かる、サン=ミッシェル橋だ。


    3から見るサンクチュアリ。


    3 ここまで来ると聖堂の尖塔が遠く見えてくる。


    4 ようやく見えてきたサンクチュアリの門。

    サンクチュアリの東端に位置するサン=ミッシェル門。ここがサンクチュアリの正門になる。


    5 いよいよルルドの中心、サンクチュアリの散策へ。



    門の内側から街を振り返ると、ルルドが小さな街なのがよく判る。
    画像中央に写る鮮やかな色の建物と、それに向かいあう白っぽい建物。そのあいだにある小さな道が、今まで歩いてきたグロット通りで、離れたところから見ると本当に狭く小さな通りだ。


    5 緑豊かで美しく整えられたサンクチュアリ。


    7に向かって歩く。

    逆光気味の夕陽がまぶしい。
    大聖堂の尖塔を目指して歩きながら、この足元、この地下に面積12000平方メートル、長さ191m、幅61mの大聖堂があるのが信じられなかった。
    聖ピオ10世地下大聖堂。
    世界で最大規模の建造物のひとつで、約3万人を収容できるという。
    もう夜の7時ごろにもなるので、見学することは難しいだろう。
    地下聖堂はまた明日にでも、と思いながら、まずはサンクチュアリの奥、ロザリオ広場へと足を進めていった。


    【ベルナデットの奇跡の泉 -ルルド- 2】につづく
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